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不登校支援の切り札となるか!?

<教育業界>公設民営のフリースクール

(2007年11月8日更新)

文部科学省によれば、全国の不登校(30日以上の欠席)の小中学生は、いまや年間12万人を超え、とくに中学生では、35人に1人、つまり、1クラスに1人の割合で不登校の生徒が存在するという極めて深刻な状況だ。そんなか注目を集める、大阪府池田市の公設民営のフリースクールを取材した。

市の施設で民間が運営するフリースクール

大阪府池田市の中心部を見下ろす小高い山のふもとに「山の家」がある。もともと子ども会やボーイスカウトなどの子どもを育成する団体向けに池田市が開設した施設だが、現在は、不登校の児童生徒向けのフリースクールとしてもその名が知られている。

NPO法人「スマイルファクトリー」白井代表
NPO法人「スマイルファクトリー」白井代表
フリースクールといえば、NPOなどの民間団体が設立したものがほとんどだが、「山の家」は、場所と予算は市が提供し、運営はNPOが行なうという全国でも珍しい“公設民営”のフリースクールで、2003年9月に開設された。

「山の家」を運営するのは、大阪市に本部を置くNPO法人「スマイルファクトリー」。 代表である白井智子氏は、東京大学卒業後、松下政経塾を経て、弱冠26歳で沖縄のフリースクールの校長を務めた人物だ。経営者との方針の違いから校長を辞め、大阪にやってきたところを池田市の倉田薫市長に依頼され、池田市のフリースクールの運営を引き受けることとなった。

「山の家」は池田市の市街を見下ろす五月山のふもとにある。自然に囲まれた「山の家」は、子どもたちにとって安らぎの場でもある
「山の家」は池田市の市街を見下ろす五月山のふもとにある。自然に囲まれた「山の家」は、子どもたちにとって安らぎの場でもある
「山の家」では、毎週水曜日から土曜日の午前10時から午後3時まで、スクーリングを行なっている。また、キャンプや祭りなどのイベントも頻繁に開催しているほか、悩みを抱えた子どもや保護者を対象としたカウンセリングも行なっており、サポートする子どもの数は、年間5000人を超える。加えて、07年4月からは、通信制の高校と提携し、高校卒業資格が得られる「スマイルファクトリーハイスクール」も開設した。

公と民のメリットが享受できるフリースクール

「山の家」のフリースクールの特徴は、まず、「保護者の費用負担が軽い」という点がある。 民間のフリースクールは、多くが個人や零細な非営利団体が運営しており、公的な支援が受けられないことから、保護者の費用負担は小さくない。これに対し、「山の家」は、池田市が費用を負担しているため、池田市民は無料で利用できる。

「山の家」のフリースクールでは、午前中は個人学習、午後はコミュニケーション能力を高めるための体験学習を行なっている。
「山の家」のフリースクールでは、午前中は個人学習、午後はコミュニケーション能力を高めるための体験学習を行なっている。
公立学校との協力体制があるという点も特徴だ。
「山の家」では、不登校の生徒が所属する学校との間で頻繁に情報交換をしているほか、年に数回、土曜日に最寄りの小学校の教室を借りて授業をする“学校探検”を行なっている。

不登校になった子どもは、学校に対して大きな恐怖心を抱くようになるため、人がいない学校に行ってみることで、そうした恐怖心を払拭しようというのがこの授業の狙いだ。じっさい、学校探検をするようになってからは、かつてタブーだった“学校”という言葉も口にできるようになり、「“あの子、今日から学校に行ってるんだって”という話も普通にできるようになった」(白井代表)という。

「山の家」では、勉強以外にも、誕生会や祭りなどのイベントも行なっている。
「山の家」では、勉強以外にも、誕生会や祭りなどのイベントも行なっている。
さらに、民間のフリースクールの特徴も備えているため、柔軟な対応も可能となっている。 自治体の適応指導教室でも相談事業を行なっているが、対応する時間は日中に限られている。一方、「山の家」では、緊急の場合、24時間体制で電話相談を受け付けており、「朝、学校に行かないと言い出した子どもの保護者から電話がかかってきたり、夜中、悩みを抱えた子どもから電話がかかってきたりすることも少なくない」(白井代表)という。

悩みを抱える子どもや保護者にとって、もっとも助けが必要なときにサポートしてくれるという点は、極めて重要であり、こうした柔軟な対応ができるのも、民間の組織ならではといえる。

安定的な運営資金の確保と人材の育成が課題

フリースクールの運営資金は池田市が負担しているが、その額は、スクーリングと相談事業を合わせても年間1400万円程度であるため、すべての費用をカバーできない。文部科学省の助成を受けるなど、市以外の資金も活用しているが、「それでもとんとんで、持ち出しになることもある」(白井代表)

マンパワーの問題も抱えている。現在、「山の家」は、常勤と非常勤のスタッフ10名ほどで運営しているが、白井代表に依存する部分が極めて大きい。毎年、新たに不登校になる子どもが存在する状況に恒常的に対応していくためには、第二、第三の白井氏を育てることが求められる。

不登校の問題が深刻化する昨今、民間のフリースクールや公立の適応指導教室だけでは限界がある。従来の組織の限界を超えた不登校支援のあり方として、公設民営のフリースクールに寄せられる期待は大きい。こうした期待に応えるためにも、財政基盤の安定化と人材育成への取り組みは急務といえるだろう。


●運営組織概要
組織名 「スマイルファクトリー」
所在地 大阪市西区北堀江2-17-9 NPO法人トイボックス内
電 話 06-6543-4770
URL  http://www.smilefactory.jp/start.html

※記事は作成日時点のデータですので、あらかじめご了承ください。

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