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月刊ベンチャー・リンク 2008年6月号より

<2008.6月号特集>パターン別 承継の成功ポイント/親族外への承継

(2008年9月11日更新)

事業承継計画が完成したら、具体的な対策の実行に移ろう。ここでは「親族内承継」「親族外承継」「M&A」の3パターンについて、それぞれの成功ポイントを解説する。自社の承継方法を想定して、どんな対策が必要になるのかを把握していただきたい。

青山和正(東京富士大学教授)、大山智章(東京商工会議所経営支援部中小企業相談センター副主査)、宮崎健治(企業再建・承継コンサルタント協同組合理事)
参考・引用文献:『事業承継ガイドライン20問20答』(中小企業庁)

■親族外への承継

ポイント1 関係者の理解
ポイント2 後継者教育
ポイント3 株式、財産の分配


ポイント1~3については、基本的に親族内の承継と同じ。ただし、次の点に注意する必要がある。「関係者の理解」では、親族内の承継と比べて、より多くの時間が必要となる場合が多いことを肝に銘じたい。
現オーナー経営者の親族の意向をよく確認し、一時的な中継ぎとして従業員などへ承継する場合は、十分に意思疎通を図っておく必要がある。「社内から後継者を選ぶ場合、ほかの社員に納得してもらうことも重要です。親族が継ぐのなら仕方ないと納得する人でも、同僚から選ばれることには競争心などからくる抵抗感を覚えることがあるからです。幹部社員などが納得できる人選と説明が必要です」(宮崎理事)

「後継者教育」では、役員・従業員に承継する場合、すでに社内のことは知っていることが多いので、必要に応じて実施すればいい。「株式・財産の分配」では、後継者の経営に配慮し一定の株式を後継者に集中させることが必要。また、後継者に株式取得のための資力がないことが一般的である。その際、MBO(囲み参照)の利用も検討する価値がある。なお、現経営者の様々な要請に応じて、会社法の各種手法が活用できることも覚えておきたい。

MBOとは
マネジメント・バイ・アウトの略称。後継者となる経営陣が、オーナー経営者などが保有する株式を買い取って経営権を取得する方法。日本ではまだそれほど多く行なわれていないが、今後、支援制度が整っていくに従い増えてくることが予想される。なお、経営陣ではなく、従業員が経営権を取得する場合、EBO(エンプロイー・バイ・アウト)と呼んで区別することもある。

ポイント4 個人(債務)保証、担保の処理

事業承継に先立って債務の圧縮を図りたい。また、後継者の債務保証を軽減できるよう、金融機関と粘り強く交渉する必要もある。個人保証・担保が処理しきれない場合は、後継者も連帯保証人に加わるよう求められることが多い。負担に見合った報酬を後継者に確保しておきたい。

専門家からのアドバイス

「親族外への承継を成功させる鍵は、所有と経営の分離にかかっています」と青山教授は指摘する。社員を後継者にする場合、経営上の決定権を持つために必要な3分の2以上の株式を個人で買い取るのはほとんど不可能。金融機関に応援してもらう必要があるが、金融機関には相談したくないという経営者が多い。相談すると、事業承継で問題を抱えていると思われ、融資を止められるのではと心配しているからだ。しかし、金融機関に聞くとそれは杞憂。早めに相談するのが得策といえるだろう。

成功例2
考えもしなかった役員への承継で再建に成功して社員の意欲も向上
アーバンベネフィット(本社:東京都、本部:大阪市/企業再生コンサルタント)

会社は社長の子が継ぐものと考えた現会長の木村勝男氏は、2人の息子を自社に入社させ、自分のそばで経営を学ばせた。「ところが考え方の違いが大きく、うまくいきませんでした」(木村会長)そんななか、大きな経営課題に直面した。縁戚関係がなく一従業員として入社した人物で、能力を高く買って子会社の社長に就けた竹内泰光・現社長に「お前ならどうする」と聞くと、適切な解決策がスラスラと並べられた。「これは」と感じた木村会長は、その後に行なわれた関連業者とのアメリカ視察旅行に竹内社長を帯同させて話し合いを深め、社長職を譲る決断を下した。

03年6月に就任させると、竹内社長は瞬く間に問題を解決して木村会長をうならせた。「その圧倒的な仕事ぶりを見て、息子たちは基礎からやり直すため他社で働きたいと申し出てきました」。過去に衝突した父子は、今では良好な関係にあるという。木村会長は述懐する。「会社は社会のものだと考えています。だから、社長にふさわしい人材が社員のなかにいれば、その人に託すのが誰にとっても有益になるはずです」

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