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月刊ベンチャー・リンク 2007年11月号より

<2007.11月号特集>事例3 タマス/卓球用品製造業

(2007年12月20日更新)

卓球界での実績と貢献が評価されやる気のある同好の士が集う

「バタフライ」のブランドで有名な卓球用品メーカーのタマス。社員のほとんどが元卓球選手で、なかには世界チャンピオンに輝いた人もいる。売り上げを卓球界に還元するという理念に呼応した社員が企業活動を支えている。

本社に隣接する「タマス卓球道場」。三遊亭小遊三氏らの「らくご卓球クラブ」も利用している。
本社に隣接する「タマス卓球道場」。三遊亭小遊三氏らの「らくご卓球クラブ」も利用している。
無料の道場で競技者を支援

東京都杉並区。ビルや住宅が建ち並ぶ一角に、一流の卓球選手たちが足繁く通った卓球道場がある。道場の利用は原則無料ですべての人に公開され、宿泊所もある。取材時には神奈川県内の有力高校の学生が合宿して、必死に卓球のボールを打ち合っていた。

道場を運営・管理するのはタマス。その会社名を知らない人でも、卓球ラケットのラバーに刻印された、蝶のマークの製品を作っている会社と聞けば、はたと膝を打つはず。タマスは「バタフライ」ブランドを展開する、世界ナンバーワンの卓球用品メーカーだ。

同社の卓球界に対する貢献は、用品の供給だけにとどまらない。これまで長い間、全国各地で講習会を開き、競技人口の底上げに努めてきた。在職中に全日本ナショナルチームの監督を務め、トップ選手の育成に尽力した社員もいる。こうしたことは卓球界で広く知られ、その功績により「タマスで働きたい」と入社を希望する卓球競技経験者が後を絶たない。

山田俊策社長。「創業者はカリスマ性のあった人。私はみんなで会社を盛り上げていこうと話しています」
山田俊策社長。「創業者はカリスマ性のあった人。私はみんなで会社を盛り上げていこうと話しています」
売り上げアップで卓球界に貢献

タマスの創業は1950年。バタフライブランドには、太平洋戦争を経験した創業者・田桝(たます)彦介氏の強い意志が込められている。「戦争は二度としてはいけない。起業する会社は平和の象徴である蝶のように、花である選手に仕える製品を作ろう」と考案したという。
「こうした歴史があるため、タマスは社員の採用にあたり、創業理念に賛同し、人徳のある人を優先してきました。そのうえで、最近は新しい発想や仕組みづくりができる人を選んでいます」。現社長の山田俊策(しゅんさく)氏はこう話す。

社員は現在120人。その7割以上は競技者として卓球経験のある人だ。競技経験は入社の必要条件ではないが、社員募集の告知は57年創刊の自社発行雑誌『卓球レポート』と、自社のホームページ上でのみで行なっていることもあり、毎年3月に開く会社説明会には、卓球経験者ばかり50人ほどが参加する。

応募者のなかには京都大学や大阪大学といった名門大学の学生もいる。「ここ5~6年に限れば、新入社員のすべてが卓球経験者です。特に最近、名門大学の学生が応募してくるのは、当社の卓球界への貢献が認められていることに加え、寄らば大樹と大企業で働くよりも自分の好きなことに打ち込みたいという学生が増えてきたからではないでしょうか。例えば、高分子学を専攻する大学院生が、自分の作ったラバーで世界チャンピオンを生み出したいといって応募してきました」(山田社長)

社員の大半が卓球経験者であることのメリットは多い。商品開発の際、経験を生かした発想が生まれる。また、得意先は卓球にかかわる人たちなので生半可な知識では通用しない。だが、経験者ならば専門的な話ができる。意志疎通の速さもメリットの1つだ。事業の核となる卓球を経験しているので、例え専門的な業務であっても、こと細かに説明しなくても話がスーッと通る。

売り上げ増が卓球界への貢献につながり、社員のやりがいが増すことも重要である。卓球への熱い思いを抱いて入社してきた社員で占められているため、利益向上に全力を尽くすわけだ。

元全日本チャンピオンの岩崎清信氏は、「やりがい」を求めて大手自動車メーカーから転職。
元全日本チャンピオンの岩崎清信氏は、「やりがい」を求めて大手自動車メーカーから転職。
全日本チャンピオンがやりがいを求めて転職

総務部・財務チームの岩崎清信リーダーは8年前、大手自動車メーカーからタマスに転職してきた。気さくな人柄で、若手社員からは“兄貴”と慕われている。一見、面倒見のいい普通のサラリーマンに見える岩崎氏だが、実は96年度の卓球全日本チャンピオンなのだ。

岩崎氏は大手自動車メーカーの卓球部からスカウトされて入社した。実業団選手として数々のタイトルを獲得。全日本チャンピオンとして国内の頂点に立ったが、年齢とともに自分で納得できるプレーができなくなり、約10年間の実業団選手生活にピリオドを打ち、引退を決めた。その後も会社に残ったが、卓球に携わる仕事がしたいという思いが強まっていく。引退から半年後、先輩の紹介でタマスに入社した。
「収入はダウンするけれど、それ以上に卓球にずっと携わることができてやりがいのあるタマスで働きたいという思いが勝りました」と岩崎氏は当時を振り返る。

岩崎氏は現在、雑誌『卓球レポート』に技術向上のための連載を執筆し、読者から好評を得ている。週末にはタマス主催の卓球講習会に参加するなど、元全日本チャンピオンの腕前と人気を生かして獅子奮迅の活躍を見せている。タマスには岩崎氏のほかに、世界チャンピオンと全日本チャンピオンが1人ずつ所属する。

「愛ちゃん」のニックネームで人気の福原愛選手らによって、卓球界が盛り上がりを見せているとはいえ、愛好者が劇的に増えているというわけではない。今後の事業戦略について山田社長はこう語る。

「大きく3つあります。1つ目は、中国市場の強化。2つ目は、ラケット工場を海外に作り、趣味としての卓球を世界に広めること。3つ目は、国内市場を掘り起こし、新しいビジネスモデルとサービスを生むことです」これらの戦略展開により、現在53億円の売上高を3年後には100億円に引き上げる目標に向けて、全社一丸となって業務に励んでいる。卓球好きが集まった卓球用品メーカーだからこそ、社員の足並みに乱れは見られない。
タマス卓球道場内に作られた卓球資料館。貴重な物品が数多く並び、卓球ファンの間で人気が高い。
タマス卓球道場内に作られた卓球資料館。貴重な物品が数多く並び、卓球ファンの間で人気が高い。

【会社クレジット】
タマス

【所在地】〒166-0004 東京都杉並区阿佐谷南1-7-1
【TEL】03-3314-2111
【創業】1950年
【資本金】9960万円
【売上高】53億円
【従業員数】120人
【事業内容】卓球用品の製造・販売
【URL】http://www.butterfly.co.jp/

文・百瀬崇
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※記事は作成日時点のデータですので、あらかじめご了承ください。

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