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月刊ベンチャー・リンク 2007年8月号より

<2007.8月号特集>ホッピービバレッジ 東京都港区 

(2007年10月25日更新)

創業以来の「本物志向」が超ロングセラー商品を支える

戦後の焼け跡に登場した「ホッピー」は、超ロングセラー商品として若者層にも人気を呼んでいる。
発売当初から変わらぬ昔ながらのデザインと、痛風を引き起こすとされるプリン体がゼロという健康志向が時代のニーズにも合った。だが、それだけではない。大正時代に研究を始めた当初からの品質へのこだわりが根強い人気を支えてきた

“懐かしい味”が“新しい味”として復活

甲類焼酎をホッピーで割ってジョッキで飲むのが基本。このスタイルは発売当時、料飲店の客の間から広まった。
甲類焼酎をホッピーで割ってジョッキで飲むのが基本。このスタイルは発売当時、料飲店の客の間から広まった。
盛り場を歩けば赤ちょうちんに黒く書かれた「ホッピー」の文字に出合う。中高年層にとっては懐かしさを感じさせるホッピーは、いま若者層にも広く支持されるようになった。人気タレントの吉岡美穂は、ホッピービバレッジの発売50年記念誌で「ホッピー体験」をこう語っている。「低カロリーですね。ボトルもかわいい。ラベルもちょっとレトロ(懐古的)な感じでかっこいい。味もフルーティーでおいしい」

ホッピーは、ビールと同じ麦芽とホップで作られるアルコール分0・8%の「炭酸清涼飲料水」だ。焼酎を割って飲むのが定番だが、最近はジンやウオツカなどを割る飲み方も人気である。100mlで約10キロカロリー。低糖質でプリン体ゼロ。糖尿病や痛風の心配がある人でも安心して飲める健康志向が時代のニーズに合った。“懐かしい味”が“新しい味”として若者にも受け入れられた。

「赤坂のホッピー」から「世界のホッピー」にと夢を語る石渡社長。「原点を忘れずに独自の商品を作り、育てていきたい。
「赤坂のホッピー」から「世界のホッピー」にと夢を語る石渡社長。「原点を忘れずに独自の商品を作り、育てていきたい。
発売は終戦直後の1948年。60年近くも売れ続ける超ロングセラー商品だ。長く支持されてきた理由を、ホッピービバレッジ(東京都港区)の石渡光一社長はこう語る。「決して順風満帆だったわけではありません。流行の新製品の模造品を出そうという誘惑にかられたことも、少なからずありました。しかし、原点を忘れないで何とか続けることができた。これからも当社独自の商品であるホッピーをていねいに作り、大事に育てていきたいと思います」

急成長のあとの低迷期に「品質」の原点に回帰

石渡光一社長の父・石渡秀氏は、大正末期に長野県内で偶然、ホップを見つけた。当時、すでにビール風味の飲料はあったが、「本物のホップを使った飲み物を造ろう」と研究を開始。そして戦後の48年、ホッピーの製造販売がスタートする。終戦直後、「カストリ」「バクダン」といわれた密造酒がはびこる闇市で、本物の麦芽とホップを使ったホッピーは大人気となった。焼酎をホッピーで割る飲み方も、闇市から自然発生的に生まれた。

81年には1日に20万本を売るまでに成長。だが、それをピークとしてホッピーの売り上げは減少を始める。強力なライバルも出現した。82年に他社が販売した柑橘系炭酸飲料「ハイサワー」が爆発的に売れた。ホッピー最大のピンチである。石渡社長は腹をくくった。「売れない時は売れなくてもしようがない。品質にこだわり続ければいつか必ずお客さんが喜んでくれるものができる」

“品質”という原点への回帰である。麦芽をろ過する機械を、ビール会社が使っている本格的なものに替え、麦芽やホップを煮沸して麦汁を取る機械も近代化した。また、大手ビールメーカーから優秀な技術者をスカウトした。その技術者が最初に言った言葉は、「何ですか、この酵母は!」だった。

東京・調布工場では現在、1日に20万本のホッピーが生産される。工場は51トンの発酵タンクをはじめ最新設備を備えている。
東京・調布工場では現在、1日に20万本のホッピーが生産される。工場は51トンの発酵タンクをはじめ最新設備を備えている。
ホッピーを造る際の“生みの親”ともいえる酵母は、48年に醸造研究所から提供を受けて以来、大事に育ててきた。しかし、すでに香りも発酵力もなかったのだ。そこで酵母探しである。ビールの本場、ドイツのミュンヘン大学にある何千種類の酵母のなかから、ホッピーに合ったものを分けてもらった。その結果、ホッピーの品質は格段に向上した。だが、売り上げはなかなか戻らない。90年代後半までは焼酎ブームによる「レモンハイ」や、95年に製造販売を始めた「地ビール」で食いつなぐことになる。

「空飛ぶ看板娘」として副社長がPRの先頭に立つ

そしていま、ホッピーは完全復活を果たした。06年度の売上高は前年比25%増。4年連続で過去最高の売上高を更新中だ。ホッピー復活には3つの背景がある。飲酒運転に対する批判が高まり、ノンアルコールのホッピーが見直された。健康志向もプリン体ゼロで低カロリー、低糖質のホッピーの追い風になった。さらに、04年以降のレトロブームも追い風の1つだ。レトロなホッピーのイメージが若い世代には新鮮に映った。

地ビールやガラナなど商品ラインアップは豊富だが、メインはあくまでホッピー。「黒ホッピー」「55ホッピー」も人気。
地ビールやガラナなど商品ラインアップは豊富だが、メインはあくまでホッピー。「黒ホッピー」「55ホッピー」も人気。
ホッピーの新しいイメージ作りには、跡取り娘で同社の副社長を務める美奈さんの存在が大きい。「空飛ぶ看板娘・ホッピーミ~ナ」と自ら名乗り、ホッピーの伝道に飛び回る。ホームページの「ホッピーミ~ナの3代めあととり修行日記」は、跡取りとしての正直な姿を綴り、幅広い世代に好評を得ている。

戦後の闇市時代に生まれたホッピーは、いま“ホッピー・ハッピー”として若い世代の人気を集める。長い低迷期を乗り越えて復活を果たした理由を、石渡社長は「たまたま時代のニーズに合った、ラッキーな商品です」と控え目に語る。だが、時代の変化を乗り越える力となったのは「品質へのこだわり」と「ブランドへのこだわり」に違いない─―。そう話を振ると、柔和な笑顔で自信ありげにうなずいた。


文・市川昭彦

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