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業態の垣根を越えて競争激化

<熱戦>カー用品業界

ベンチャー・リンク2008年1月号

自動車販売まで扱うトータル型と取扱品限定の専門特化型に二極化

カー用品店とディーラーが互いの領域に踏み込み競争激化

カー用品業界は今まさに過渡期に差しかかっている。国内の新車販売台数の減少を受け、カー用品の市場規模も伸び悩んでいるのだ。日本自動車販売協会連合会、全国軽自動車協会連合会がまとめた乗用車と軽自動車の新車販売台数を見ると、2005年から前年割れで推移しており、06年は515万7654台。07年上半期(4~9月)は前年同期比7%減の224万7745台と、縮小に歯止めがかからない。



この傾向について、カーアフターマーケットの専門誌『A.M NETWORK』の貴堂 郁(きどういく)編集長は次のように分析する。

「落ち込み要因としては若年層の車離れが大きい。自動車を維持するには保険代、駐車場代、税金、車検代、燃料費などお金がかかるうえ、車を持つことが以前ほどステータスシンボル(社会的地位の象徴)ではなくなっているのでしょう。車が売れなくなれば、必然的にカー用品の売り上げも減少してきます」

業界の動向に詳しい矢野経済研究所が調べたカー用品市場規模の推移を見ると、05年に1兆2840億円で前年比6%増となったものの、06年は1兆2810億円と減少し、07年は1兆2710億円程度となる見込みだ。さらに08年以降、前年比2~3%の割合で減少すると推測されている。

カー用品の売り上げに影響するのは自動車の販売台数減少だけではない。人気車種の変化や自動車ディーラーの顧客囲い込みも大きく響いている。
「今の人気車種はミニバン型。内外装に手を加えて独自色を出して楽しむようなスポーツカータイプは生産されなくなってきています。しかも新車購入時にオーディオやカーナビが標準装備されている車種も少なくありません。つまり、カー用品店で購入していたものが、ディーラーで間に合うようになっているのです」(貴堂編集長)



ディーラーがアフターマーケット事業を強化したのも、新車の国内販売が低迷していることに起因する。用品販売や保険市場に踏み込み、顧客の囲い込みを図っているのだ。この状況を受けて、カー用品店各社も手をこまぬいているわけではない。車検や整備などのメンテナンス事業を始めるなど、ディーラーと同様に、アフターマーケット全般を扱う業態にシフトする傾向が見られる。

矢野経済研究所の自動車部アフターマーケットチームリーダーである松本才喜(さいき)氏は、カー用品店の車検・メンテナンス事業についてこう予測する。
「車検が必要な車は年間に約3000万台です。04年に当社が調査した1店舗当たりの車検取扱台数から推定すると、整備工場扱いが60%、ディーラーが30%、ガソリンスタンドが3%、カー用品店は1%程度。そのうちディーラーは新車の車検中心で、その獲得率は70%に上りますが、購入して5年後になると50%に減少します。

この傾向から、カー用品店は中古車車検を中心にシェア10%程度までは伸びるのではないかと見ています」さらに自動車販売まで扱うカー用品店も登場している。つまり、カー用品店、自動車ディーラー、中古車販売店といった業態の垣根がなくなり、縮小傾向にある市場を多業態で奪い合う構図が生まれているのだ。

G-7グループは、06年10月に大型複合施設「モータウン土山」を開業。「車生活のトータルサポート」を目指す。
G-7グループは、06年10月に大型複合施設「モータウン土山」を開業。「車生活のトータルサポート」を目指す。

総合的に車生活を支援し固定客獲得を図る大手

1947年に自動車部品の卸販売として創業したオートバックスセブン(東京都江東区)は、現在、5業態の店舗展開をしている。総合カー用品店の先駆けとなった「オートバックス」、寒冷地のメンテナンスに特化した「オートハローズ」、300~700坪の広大な売り場面積を持つ「スーパーオートバックス」、中古カー用品の「走り屋天国セコハン市場」、セルフ式ガソリンスタンドを核にカー用品販売やメンテナンスを行なう「オートバックスエクスプレス」だ。



同社の07年3月期の連結売上高は2425億3200万円。業界内の売上高シェアは56%と圧倒的強さを誇るが、96年以降の業績は横ばいが続いている。業績向上への打開策として掲げたのは「トータルカーライフ戦略」。なかでも新機軸となるのが中古車の買取・販売事業と車検・整備事業だ。現在は車販売が114億円、車検事業は91億円と全売上高の7%程度にすぎないが、今後の重点事業と位置づけている。

07年の自動車販売台数1万5400台、車検実施台数28万5000台を、09年にはそれぞれ3万台、57万台に引き上げるとしている。カー用品事業からカーアフターマーケット、車販売までを取り扱い、業界をけん引する目論見だ。

こうした戦略は、オートバックスのフランチャイズチェーン(FC)店を運営する企業でも展開している。オートバックスは直営175店のほか、FC353店を国内で展開。なかでも最大の売上高を誇るのがG-7ホールディングス(兵庫県神戸市)の事業子会社オートセブンで、76年にFCに加盟し、兵庫県を中心に「オートバックス」「スーパーオートバックス」「走り屋天国セコハン市場」など49店を運営している。

G-7ホールディングスの07年3月期の連結売上高は595億6600万円で、そのうちオートバックス事業は248億5700万円と、全体の41.73%を占める。

「FCの場合、知名度の高いオートバックスブランドを生かした店舗展開ができ、商品仕入れの規模の大きさによるメリットも追求できます。今後はカー用品だけでなく車販売、車検サービスなどお客様の車生活全般をサポートできる店舗を作っていく方針です」

G-7ホールディングス経営戦略部経営企画室係長の今井聡氏はこう説明する。G-7グループが並行して手がける新車・中古車の販売・買取事業は、07年3月期で売上高40億2900万円となり、前年同期比25%増と順調に伸びている。

また、同グループは「車生活のトータルサポート」を実現する事業方針の一環として、06年10月に大型複合施設「モータウン土山」を開業した。これは「約5年前から店舗の移転新築に伴い、大型化、複合化を進めてきた」(今井係長)もののひとつで、カー用品や新車を販売するほか、車検・板金・整備のためのメンテナンス設備や、洗車・コーティング施設とセルフ式ガソリンスタンドなどを併設した車関連を中心とする大型複合施設となっている。今後も既存店の改装、車検やメンテナンスなどのサービス強化を進めていく考えだ。

イエローハット、ジェームス、オートウェーブなど、ほかのカー用品大手もオートバックスと同様に車検・メンテナンス、新車販売へと拡大路線をとっている。「自動車購入を足がかりにカーナビ、オーディオなどの購入や取り付け、定期的なメンテナンス、車検などで固定客を獲得しようという狙い」(A・M NETWORK貴堂編集長)のようだ。

中古市場で先鞭をつけたアップガレージ。設立から1年かけて中古品の査定システムなどを開発し、FCの買取マニュアルを作成した。
中古市場で先鞭をつけたアップガレージ。設立から1年かけて中古品の査定システムなどを開発し、FCの買取マニュアルを作成した。


注目される専門特化とネット販売、中古カー用品

このようにメンテナンスや自動車販売事業へ業態を広げる会社が多いなかで、専門特化により収益を上げている企業もある。そのひとつがタイヤとホイールの専門店として71年に創業したフジ・コーポレーション(宮城県黒川郡)だ。

東日本を中心に直営店を23店展開しているが、店舗販売からインターネット販売へと軸足を移している。この戦略について、『A.M NETWORK』の貴堂編集長は次のように説明する。

「同社の場合、タイヤとホイールをセットで安く提供するというシンプルな販売形式ですが、インターネットで購入できる手軽さ、さらにニーズに応えられるよう輸入品や格安品までそろえている商品力が強みです。

ホームページ上に商品情報を載せれば広告費もかかりません。ただし、数十万セットに及ぶタイヤとホイールの組み合わせや価格などを一括管理するシステムの開発、受注から出荷商品を呼び出す自動倉庫システムには多額の費用をかけています」
価格競争に陥りがちな専門店のなかでは、独り勝ちの状態だという。06年10月期の売上高は100億1500万円。前年同期比7.6%増で順調に推移している。

一方、カー用品の中古市場にも大きな動きが見られる。先鞭をつけたのはアップガレージ(東京都目黒区)。99年の設立から8年、FCを含めた店舗数は83店、売上高は41億7000万円に伸びている。

同社が特に力を入れたのは中古品の査定システムだ。会社を軌道に乗せるにはFCによる多店舗展開が望ましいが、商品買取の肝になる価格決定の技術の習得に時間がかかっていては事業拡大の妨げになる。石田誠社長はこう話す。

「設立から1年かけて基幹システム、査定システム、在庫管理システム、POSレジシステムを開発し、並行してFCの買取マニュアルを作成しました。商品、メーカー、型番が価格決定の基準ですが、キズなどによる判断基準も加えてあります」

新品と違い、中古品はキズや使用状態などが異なる「一品モノ」だ。初期投資、労力はかかるが、データの蓄積によりネット販売でも顧客に詳細な情報を提供できるという。商品のある場所まで追跡できる同社のシステムは、単品管理に優れていることでも定評がある。

ネット販売も伸びているものの、石田社長は「あくまで基本は店舗での販売」と強調する。顧客満足度を高めるよう、店舗ではタイヤやホイールを装着する「ためし履き」のサービスを行ない、スタッフの商品知識を増やして接客の質的向上に努めている。

石田社長は「今後、中古カー用品市場は1500億~2000億円になる」と見込む。各社が中古カー用品市場になだれ込み、競争が激化しているが、本当のライバルはヤフーなどのネットオークション市場だという。対抗策として、「お客様がインターネットを通して買取依頼ができるようなシステムを作っていきたい」と意気込む。

女性や高齢者を視野に入れ新たなニーズを掘り起こす

カー用品店を取りまく環境は厳しい。車検や整備などのカーメンテナンス、車販売まで業容を拡大して活路を見出そうとするカー用品店もあるが、こういった傾向はカー用品店だけではないからだ。例えば整備やオイル交換の顧客を自動車ディーラーに奪われたガソリンスタンドや整備業者が自動車販売に取り組む動きも見られ、限られた顧客を奪い合う構図は変わらない。

一方で、家電量販店のヤマダ電機がカーオーディオやカーナビを取り扱うというように、業界の垣根を越えた激しい競争が始まっている。各社が狙いを定めているのが女性層だ。オートバックスセブンは女性限定プロジェクト「魁(さきがけ)☆おなご塾」を立ち上げ、女性客が足を運びやすい店舗づくりに取り組んでいる。

免許保有者の4人に1人は女性であることから、開拓の余地は大きいと見る。オートウェーブは07年11月、茨城県土浦市に「ブロッサム」という女性専用店をオープン。授乳室を設けるなど子供連れの女性客も意識し、新しい市場でシェア回復を目指す。これまでカー用品店と縁のなかった客層をどう取り込むのか。各社の店舗づくりに注目が集まる。



ガリバーインターナショナルが中古車とカー用品をセット販売

中古車買取・販売市場で1821億6600万円(07年2月期)の売上高を誇る最大手のガリバーインターナショナルは、07年8月に本格的にカー用品市場に参入した。

おもな商品はカーナビ、オーディオ、ETC(高速道路の自動料金収受システム)車載器など。そのニーズについて、村田育生専務が説明する。
「お客様にとっては購入した中古車にオーディオ、カーナビなどがあらかじめ取り付けてある方が便利。中古車と必要な装備がワンストップでそろうので人気があります」
現在、直営店約300店でカー用品を扱っており、各店で月間100台程度の販売を目標にしている。
カー用品市場の低迷については「縮小傾向にあるかもしれないが、新車台数は年間約600万台、中古車も800万台ほど流通しています。十分に大きな市場です」と村田専務は確信する。現在、同社が扱っているのは年間の中古車市場800万台のうち約25万台だが、カー用品の需要開拓と同時に100万台まで引き上げていく方針だ。
文・上田里恵

※記事は作成日時点のデータですので、あらかじめご了承ください。

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