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家族形態の変化に対応する新しい住まい方

ふれあいのある集合住宅「コレクティブハウス」

B STYLE16月号より(2005年10月15日発行)

プライバシーは守られるが、人とのふれあい、助け合いも得られるという集合住宅が「コレクティブハウス」。「単独世帯」や「高齢者のみの世帯」が増加しつつあるいま、コレクティブハウスは、家族形態の変化に対応した、新しい住まい方のひとつだといえよう。

■“共助”の観点から関心が高まる
「人のいる安心感がコレクティブハウスの魅力」という、すてっぷ企画室の山崎恵子社長
「人のいる安心感がコレクティブハウスの魅力」という、すてっぷ企画室の山崎恵子社長
民家と中小企業の工場が入り混じる大阪市港区の下町。その一角に「コレクティブハウス」の『しまんと荘』がある。
コレクティブハウスとは、プライベートな住居部分に加え、共同で利用する居間や食堂などがある集合住宅のこと。プライバシーを保ちつつ、昔の長屋のようなつきあいもできるのが特徴だ。もともと北欧で、女性の家事負担を減らそうと作られたものだが、高齢化の進む日本でも、「助け合い」の観点から、関心が高まっている。
しまんと荘を企画・運営する、すてっぷ企画室の社長、山崎恵子さんは、身障者ボランティアやゼロ歳児を預かる保育所の運営などを経て、父親の不動産業を継いだ。それまでの経験から、身障者やシングルマザーが住宅を借りるのは難しいと感じていた山崎さんは、こうした人たちも入れる共同住宅を作ろうと、2003年、しまんと荘を開業した。


■魅力は人の気配のする安心感
大阪市港区にあるコレクティブハウス「しまんと荘」。8室の個室のほか、風呂、トイレ、台所、洗面所、リビングなどの共用部分がある
大阪市港区にあるコレクティブハウス「しまんと荘」。8室の個室のほか、風呂、トイレ、台所、洗面所、リビングなどの共用部分がある
しまんと荘の入居条件は、「自分の意思が伝えられる程度に自立していること」と「禁煙者であること」。現在の入居者6名のうち5名が身障者だが、いずれも、ヘルパーの支援を得て、ひとりで暮らしている。
入居に必要な費用は、月額賃料5万円(個室賃料と共用室の賃料、それぞれ2万5000円)と入居時の保証金30万円。個室の電気料金は個人の負担だが、共用スペースの光熱費は入居者の頭割りだ。

共用スペースの管理方法は、入居者の話し合いで決める。開設当初は、月に1度ミーティングを開いていたが、オープンから3年近く経ち、ルールも定着したため、いまは、2~3カ月に1度程度だ。
また、それぞれ生活の時間帯が異なるため、「キッチンが使いたいのに使えない」といった問題はほとんどないそうだ。
このほか、掃除は、担当を決めて順番に行なっており、自分で掃除することが不可能な身障者は、ヘルパーが代行している。

個室の面積は、約16平方メートル
個室の面積は、約16平方メートル
コレクティブハウスのなかには、入居者の親交を深めるために、定期的な食事会を義務づけているところも多い。しかし、しまんと荘には、そうしたものはない。
「意図的な交流より、いざというときに誰かがいる安心感のほうを大切にしたい」(山崎さん)からだ。
たとえば、身障者の入居者がベッドから落ちたことがあった。あいにく担当ヘルパーは外出中だったが、ほかのヘルパーが落ちた音を聞いて駆けつけ、必要な対応をとったため、大事には至らなかったという。また、仲良くなった人同士が一緒に食事をしたり、楽器を持ち寄ってリビングで演奏するなど、入居者同士の交流は自然に生まれているという。

キッチンは、一度に2人が利用できる。建物はすべてバリアフリー設計
キッチンは、一度に2人が利用できる。建物はすべてバリアフリー設計
これまでは、濃密な人間関係を嫌い、完全なプライバシーが得られる住宅が求められてきた。しかし、独居老人、シングルマザー、未婚者などの増加から、他人とのふれあいや助け合いを見直す機運が高まっており、コレクティブハウスに対する関心も高まっている。
「血のつながりだけが家族じゃない」と山崎さんはいう。家では家族に疎んじられていた高齢者が、ここに来て友だちもでき、自分の生活を楽しむということもあったそうだ。
「夫婦と子ども」というこれまでの家族の形が変わりつつある。コレクティブハウスはそうした変わる家族の形に対応したひとつの新しい住まい方だといえよう。

※記事は作成日時点のデータですので、あらかじめご了承ください。

備考

【CORPORATE DATA】
有限会社すてっぷ企画室
設立:2000年5月
代表者:山崎恵子
資本金:1000万円
所在地:大阪市港区市岡2-13-57しまんと荘1F
電話:06-6573-1087
URL:http://www.shimantosou.com/
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