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行き過ぎた行為には大きな代償を伴う恐れも

<朝礼ネタ>「中小企業も注意しなければならない事業者団体規制」

株式会社リンク・ソリューション Biz STYLE編集部

経営資源の少ない中小企業が市場で大企業に対抗していくための手段のひとつとして、「事業者団体」の設立があります。例えば、協同組合を設立して原材料を共同購入、製品を共同販売していくといったこともありますし、協同組合とまではいかなくても緩やかな企業グループを結成して新製品の共同開発を行う、展示会に共同出展することもあります。しかし、このような事業者団体は無制限に行動ができるわけではなく、独占禁止法の規制を受ける可能性があることも理解しておく必要があります。

■団体構成員の取引を制限してはならない
 2016年5月、高知県の土佐あき農業協同組合(JA土佐あき)が組合員に対して他業者と取引をさせないようにしていたとして、公正取引委員会が排除措置命令を出す準備を始めたと報じられました。
 高知県はナスの一大生産地ですが、一般の卸売業者を通じて販売した方が条件が良いこともあり、農協を通じた販売を行わない組合員も出始めていたとのことです。このような状況の中で、JA土佐あきは、組合員に対して、生産したナスをすべて農協に出荷するように要請したのに加えて、他の卸売業者に出荷した場合には、選果場などの共有施設を使用禁止にする、違約金と称した負担を求めていたとのことです。このような行為をしていたことが事実であれば、排他条件付取引として、独占禁止法違反になるおそれがあります。
 農協も含め、そもそも事業者団体は、構成員の利益向上を図るために設立されているはずです。団体の維持のために構成員がいるといった構図となり、構成員の取引を制限していくようなことになると、独占禁止法に触れるおそれが出てくるので注意が必要です。団体を運営している、これから設立を考えているといった場合には、団体の会則や規約に取引制限に当たるような規定がないかを確認しておくことをおすすめします。

■カルテルに該当する可能性もあり
 構成員の利益向上を図っていく上でも、その行為が行き過ぎると、カルテルに該当してしまうこともあります。例えば、事業者団体の活動の一環として、構成員同士の意見交換会・親睦会を開催することもあると思います。しかしその際に原料の仕入れ価格や販売価格について具体的な話をしていくと、価格について暗黙の合意をなしたとして、カルテル認定されてしまうおそれがあります。価格に関する情報交換は、同業者間だけではなく、卸売業者や代理店などの顧客を経由して行われる場合であっても、独占禁止法違反となるおそれがあるので注意が必要です。
 また、構成員同士の情報交換だけではなく、当然ですが事業者団体が主体となって行う活動も注意が必要です。例えば、商品やサービスの基準価格表を事業者団体が示すような行為もカルテルと認定されるおそれがあります。かつては、弁護士会などの資格者団体でも報酬基準額を会則で定めていた時期がありますが、近年は姿を消しつつあります。それでも、平成26年には、インフルエンザの任意予防接種の料金を団体で決定していたとして、埼玉県の吉川松伏医師会に排除措置命令が出されています。
 このような価格に関する取り決めに加えて、歴史のある事業者団体の場合は、構成員間で営業エリア、営業品目について暗黙の了解、紳士協定が結ばれている場合もありますが、団体としての関与が疑われる場合には、これも独占禁止法違反となるおそれがありますので、見直していく必要があります。

■カルテルに該当した際の代償は大きい
 独占禁止法は大企業の行為を縛るものといったイメージが強いですが、これまで説明してきたように中小企業であっても規制の対象になり得ます。カルテルと認定された場合、その事業者団体・構成員の信用を大きく損なうばかりでなく、課徴金も課されていきます。

 例えば、公正取引委員会では、平成27年1月に北海道の網走管内コンクリート製品協同組合に対して排除措置命令を行うとともに、違反行為に関与していた6社に対して5859万円の課徴金納付を命令しています。この事案では、オホーツク地区におけるコンクリート二次製品の市況回復を図るための共同受注事業と称して、地区内の受注案件を組合員に割り当てるとともに価格維持行為を行っていたとのことです。
 このほかにも、段ボールシート、段ボールケースを製造販売する事業者同士で取引条件の調整をしていた事案について、公正取引委員会は総額132億9313万円の課徴金納付命令を行いました。また、課徴金納付命令を受けた事業者は、所属していた東日本段ボール工業組合の会合の場で意見交換を行っていたとのことであり、公正取引委員会は、東日本段ボール工業組合に対して、同様の行為が行われることがないように再発防止に向けた措置を講じるように申し入れています。
 このようにカルテル認定に伴って納付する課徴金は、経営の土台を揺るがすほどの多額となることがあるのです。中小企業の地位向上、取引条件の改善のキープレイヤーにもなる事業者団体ですが、行き過ぎた行為には大きな代償を伴いますので、注意していかなければいけません。


<参考文献>
・公正取引委員会 平成27年度における独占禁止法違反事件の処理状況について
 http://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/h28/may/160525.html

・経済産業省 中小企業向け独占禁止法の手引き
 http://www.meti.go.jp/publication/downloadfiles/kartell.pdf




※記事は作成日時点のデータですので、あらかじめご了承ください。

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