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ビジネスの原点を見つめなおすところから始まる

<朝礼ネタ>「ビジネス視点で買物弱者対策を考える」

株式会社リンク・ソリューション Biz STYLE編集部

経済産業省の調査結果によると、食料品などの日常の買物が困難な状況に置かれている方々が全国に約700万人いると推計されています。これまで買物弱者は農村部などの過疎地域特有の現象と思われていましたが、都市部においても問題が顕在化してきています。

■買物弱者が生まれる理由
 買物弱者が生まれる理由は、地域によって様々です。
 まず、農村・山間部では、過疎化等を原因として地元小売店が衰退していくことが端緒となります。そして、地域内の住民は高齢者が多いことから、自家用車で買物に出かけることも難しく、加速度的に買物弱者が増えていきます。また、こうした不便な状況の中で若者が地域に残らず、需要減少・商店経営の担い手不足といった悪循環に陥っている状況も見受けられます。
 また近年、買物弱者の問題は過疎地域だけではなく、地方都市やベッドタウンにも広がりを見せています。地方都市では、モータリゼーションを背景として郊外に大型小売店が進出し、これに伴い中心市街地の商店街が衰退してきています。地方都市でも高齢化が進んでいることから、自家用車の運転が困難な高齢者を中心に、買物弱者が発生してきています。これは1980年代に開発のピークを迎えたベッドタウン、ニュータウンにも共通する問題です。この時期に住宅を購入した方々が一斉に定年退職を迎えてくる中で、地域内の高齢者人口が急増していきます。特に、画一的な開発がされたベッドタウン・ニュータウンは新住民の獲得も難しく、問題が長期化しそうです。
 さらに最近では、大都市圏でも買物弱者が発生してきています。大都市圏では地価が高いことから、店舗側と消費者側の双方に負担が生じている実態があります。地価が高いという理由から、店舗側でも面積を小さくせざるを得ず、価格転嫁が難しい食料品や日用品では、採算を取るのが難しくなっています。また、消費者側でも駐車場代が高いため、自家用車を持つことが難しいという一面があります。

■買物弱者は地域全体の課題
 買物弱者問題の根は深く、様々な分野に波及していきます。まず、好んで買物が不便な地域に住もうという方は少ないでしょう。体力や経済面で余裕のある方は別の地域に引っ越すという選択肢があるので、地域内には高齢者だけが残るという事態に発展しかねません。
 また、買物という行為は外出機会の多くを占めていることから、買物に行けないことによる外出頻度の低下は、引きこもり状態や生きがい喪失を招くという指摘もあります。特に、高齢者にとっては、小売店が地域住民とのコミュニケーションとる機会でもあることから、地域住民との交流も減っていくことが懸念されます。

 大都市圏においても、生鮮食品を販売する店舗が近くからなくなることによって、ジャンクフード中心の食生活になってしまう「フードデザート現象」の発生が懸念されています。フードデザートから生じる健康被害によって、社会全体の医療コストが増加してしまう恐れもあるのです。

■ビジネス視点で買物弱者対策を考える
 多くの問題を抱える買物弱者ですが、ビジネス視点から考えてみると、大きな可能性を秘めているとも言えます。すなわち、商品やサービスを求める消費者が全国に700万人もいるということなのです。大規模小売チェーンでは対象にしにくい消費者ということもあり、小回りの利く中小企業にも市場獲得のチャンスがありそうです。
 各自治体でも買物弱者対策を進めていますが、最も重要となるのは、それが「継続可能なビジネスモデルか否か」です。買物弱者を抜本的になくしていくためには、行政からの補助ありきのビジネスモデルではなく、食料品や日用品を販売する側がビジネスとして自立的に継続可能にしていくことが必要となります。継続可能なビジネスモデルが構築されることにより、廃業した店舗の復活、中心市街地の再活性化に向けた道筋も見つかっていくことでしょう。最初に買物弱者対策を展開した事業者にとっても、地域内の市場拡大といったメリットも考えられるところです。

■買物弱者対策は特別なものではない
 買物弱者を対象にしたビジネスというと特別感がありますが、実は一般的なビジネスモデルの構築と同じことを考えていけばいいのです。つまり、消費者が何を求めていて、そこに届けるにはどうすればいいかを分析します。買物弱者の場合、何を求めているかは、日々の生活に必要な食料品や日用品と明確なので、後はどのように届けていくかです。
 例えば、消費者の手元に商品を届ける手法として「宅配」があります。山形県の新聞販売店である株式会社平野新聞舗では、新聞配達網を利用した食料品の配達サービスを展開しています。高齢者は新聞購読率も高いので、親和性の高いビジネスモデルと評価できます。
 また、店舗自体を買物弱者の近くに持っていく手法として「移動販売」があります。徳島県の株式会社とくし丸では、地元のスーパーマーケットと連携し、販売パートナーである個人事業主が車両で移動販売を手がけるビジネスモデルを構築しています。移動販売車1台あたり40~50人の顧客を確保、売上の大きい個人事業主で1日に約10万円、手取りで月40万円近くの収入を得られているとのことであり、自立可能なビジネスモデルとして注目されています。

 買物弱者対策は特別なものではなく、市場と消費者のニーズを丁寧に分析していくというビジネスの原点を見つめなおすところから始まるのかもしれません。





※記事は作成日時点のデータですので、あらかじめご了承ください。

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