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ビジネス書の“要約”を価値に変える

株式会社フライヤー(東京都渋谷区)

数多あるビジネス書の中から“本格的な”書籍を選び出し、その「要約」を提供するというサービスが人気を呼んでいる。
展開しているのはフライヤー。出版社にも著者にもユーザーにもメリットがある、この独自のビジネスモデルは、要約コンテンツの質の高さに支えられている─。

■こだわりぬいた書籍の要約
 現在の日本では年間8万点以上もの書籍が新刊として発行されている。そのうちビジネス書と呼ばれる書籍の点数は約5000点。月に換算すると、400点以上にも上る計算になる。知識や情報を得るために、ビジネス書を活用する人は多いが、当然ながら、この点数の書籍をすべて網羅することはとてもできないだろう。

 この点に注目し、独自のサービスを展開しているのが、大賀康史氏が代表取締役CEOを務める株式会社フライヤー(東京都渋谷区)だ。同社が提供するのは、一冊10分で内容が理解できる書籍の要約。これをウェブ、アプリにより配信している。
 もちろん、書籍の選択には強いこだわりがある。「一流を目指すビジネスパーソンや情報感度の高い方がメインターゲット。彼らにメッセージ性の強い書籍を届けたい」と大賀氏が語るように、多くはビジネス書が占めるが、ほかにも教養書や歴史書最新のサイエンスなどを扱っている。
 社内で行われる選書委員会で俎上に載せるのは月に100冊以上。そこから議論を重ね、厳選され、要約がつくられるのは月に25冊ほどだ。「数ではなく質の高い要約を提供することが会員の満足に繋がる」(大賀氏)。
 実際、要約はプロのライターやコンサルタントが書き、それを社内で編集。最後に書籍の担当編集者のチェックを受けるという三段階を経て作成される。
 閲覧できるコンテンツの量や範囲に応じて、月額500円会員、月額2000円会員、無料会員の3プランを設定。主な収益は、この有料会員からの会費だ。価値の高い書籍の内容を短時間で理解できる要約は、多くの人に受け入れられ、サービス開始から2年半で会員数は5万人にまで増えた(無料会員含む)。
 会員数増加に伴い、出版社からも販促効果の高いメディアとして認識されるようになっている。「実際、当社が取り上げた書籍の多くは、公開後にアマゾ言語での展開も構想中だという。目下のところの目標は、翻訳前の海外の書籍の要約を増やしていくこと。それもまたグローバル化への足掛かりのひとつとして捉えている。ただし、コンテンツ量をむやみに増やすことは考えていない。「選び抜かれた本を紹介することに価値がある」という思いを大切に、むしろ点数を抑え、目利きの能力を高めていきたいという考えだ。
ラインナップには『七つの習慣』や『21世紀の資本』などが並ぶ
ラインナップには『七つの習慣』や『21世紀の資本』などが並ぶ

 低迷していると言われて久しい出版業界に「本が好き」という思いからスタートしたサービスが新たな未来を開きつつある。「まだ一歩を踏み出しただけ。このビジネスは、これからいくらでも展開できる」(大賀氏)。同社の今後の動向に注目だ。ンでの売り上げランキングが上昇する」(大賀氏)と言う。

■サービスの質が宣伝になる
 同社のビジネスが生まれたきっかけは本好きな同僚との雑談だった。「ビジネス書には素晴らしい本が多いのに、大抵は注目を浴びることなく書店から消えていく。どうにかできる仕組みがあるのではないか」(大賀氏)。それまで大賀氏は経営コンサルタントとして戦略策定や企業再生などに取り組んでいたが、アイデアを思いついてからの行動は早かった。わずか一週間で決断を下し、会社を退社する。ビジネスが形になる予感はあったが、緻密な事業計画を練ったわけではない。それよりは「チャレンジしたい」という思いのほうが強かった。
 当初は要約したい書籍の奥付を見て、一軒一軒出版社に電話をかけていた。「ユーザーにとっては本を選ぶ指針となり、著者にとっては思いを伝える手段に、出版社にとっては販促になる」(大賀氏)。その主旨を熱心に説得し、出版社を口説き落とす。徐々にだが、協力してくれる出版社数は増えていった。
フライヤー 大賀康史代表取締役<br />「業界を盛り上げていくことで本の価値をさらに高めていきたい」
フライヤー 大賀康史代表取締役
「業界を盛り上げていくことで本の価値をさらに高めていきたい」

 広告は一切打たなかった。その代わり、ベンチャー企業のプレゼンテーションの場でサービスの価値を説明し、入賞を重ねることでメディアへの露出を増やした。あくまでもサービスの質で勝負した。
 競合他社がいない独自のサービスはやがて注目を集め、10社からスタートした協力出版社も100社を数えるまでになった。

■出版業界に吹く新たな風
 「同様のサービスを海外で展開している『getabstract』の会員数は現在1000万人。それを参考にするなら、国内で200万人の会員は見込める」と大賀氏は語る。また、グローバル化も視野に入れ、ゆくゆくは多言語での展開も構想中だという。目下のところの目標は、翻訳前の海外の書籍の要約を増やしていくこと。それもまたグローバル化への足掛かりのひとつとして捉えている。ただし、コンテンツ量をむやみに増やすことは考えていない。「選び抜かれた本を紹介することに価値がある」という思いを大切に、むしろ点数を抑え、目利きの能力を高めていきたいという考えだ。
 低迷していると言われて久しい出版業界に「本が好き」という思いからスタートしたサービスが新たな未来を開きつつある。「まだ一歩を踏み出しただけ。このビジネスは、これからいくらでも展開できる」(大賀氏)。同社の今後の動向に注目だ。


<Company Profile>
 株式会社フライヤー
 東京都渋谷区代々木2-15-2 ラポール新宿303
 従業員 20名(社外スタッフ含む)
 https://www.flierinc.com/
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※記事は作成日時点のデータですので、あらかじめご了承ください。

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