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孤独を癒す分身ロボットを開発

OriHimeが人と人のこころをつなぐ

株式会社オリィ研究所(東京都三鷹市)

使う人の分身となって親しい家族や友人と対話できるロボットで人と人をつなぐ─。
寝たきりで動けない人々の熱い想いをかなえる対話型の分身ロボットで孤独問題の解決に挑むロボットベンチャーがある。

■人工知能では孤独を解決できない
 オリィ研究所は、人々の孤独を解決するため、孤独な人の「分身」となって「行きたいところに行け、会いたい人に会える」分身ロボットOriHimeを開発・製造・提供している。病気でも、体が不自由でも、みんなが同じように学び、働き、旅行に行けるような未来をつくるためのロボットづくり。それはオリィ研究所が法人登記された2012年9月以前に遡る。

 社長を務める吉藤健太朗氏が早稲田大学在学中にマンションの自室で始めた遠隔分身ロボットの開発がスタートだった。「2005年、高校3年の時に愛知万博が開催され、人と話す人工知能ロボットが話題になった。それからは人工知能に夢中になり、高専で人工知能ロボットの勉強を続けたが、次第に人工知能ロボットでは孤独感に苛まれている人を手厚く癒すことはできないと思うようになった。大学時代は6畳の自室にNCフライスや卓上旋盤を買いそろえ、離れていても入院していても、家族や友人とコミュニケーションが取れる福祉デバイスとしてのロボットづくりに打ち込んだ」(吉藤氏)という。こうして2010年、人型バージョンのコミュニケーションロボットOriHime(オリヒメ)が誕生した。

■織姫と牽牛の物語に託した想い
 その後、OriHime(オリヒメ)は、早稲田大学産学連携室の福祉ロボット研究会で実用研究に入り、特別養護老人ホームでの試験利用が始まった。早稲田大学のビジネスコンテストで優勝するなど、世間の注目も集めた。会社を設立してからは、量産化に向けた取り組みを開始し、事業化に向けた動きに拍車がかかった。
番田雄太氏とOriHime<br />幼少時に交通事故に合い、それ以来、病床にある盛岡在住の番田雄太氏。「寝たきりのスターになって欲しい」(吉藤氏)との励ましを得て、オリヒメを枕頭に置いてオリィ研究所の仕事をこなしている。
番田雄太氏とOriHime
幼少時に交通事故に合い、それ以来、病床にある盛岡在住の番田雄太氏。「寝たきりのスターになって欲しい」(吉藤氏)との励ましを得て、オリヒメを枕頭に置いてオリィ研究所の仕事をこなしている。

 オリヒメは高さ20㎝、幅15㎝、奥行き23㎝、重量510gと小型軽量だが、頭部には広角136度カメラ、マイク、スピーカーを内蔵しており、インターネットにつないで遠隔操作する人の分身となるコミュニケーションロボットである。「ロボットと人ではなく、人と人をつなぐロボットをつくり、使う人が自分の分身としてどこでも使えて、遠く離れている者同士がロボットを介して対話できる。そんなコミュニケーションのツールとしてオリヒメをつくった。オリヒメのネーミングは七夕伝説の織姫星と牽牛星の物語から採った」という吉藤氏。「遠く離れた人に会いたい。話したい。時間を共有したい。寝たきり老人や病床にある患者、障害者の孤独感を癒すツールとなるロボットはプログラミングに頼る人工知能ロボットでは絶対にできない。オリィ研究所は、どんなハンディを負った人でも、会いたい人に会える、行きたいところに行ける社会をつくるために貢献する会社でありたい」と理念を語る。

■量産化に向け、開発と営業を加速する
吉藤健太朗オリィ研究所社長<br />「独居老人やALS末期患者など難病に苦しむ人々の孤独を癒していきたい」
吉藤健太朗オリィ研究所社長
「独居老人やALS末期患者など難病に苦しむ人々の孤独を癒していきたい」

 こうしたオリィ研究所のビジョンとミッションに賛同するエンジェルからの支援が始まり、オリヒメの開発とマーケティングにも弾みがついてきた。オリヒメは現在、バージョンΔデルタを開発、製品化している。バージョンΔはLinuxボードを内蔵し、wifi、Ethernet接続が可能で、iOSアプリから画面上のOriHimeの3DCGを操作して腕を自由自在に操作できるようになった。2015年1月にはラスベガスで開催されたCES(Consumer Electronic sShow)に出展し、米国デビューを果たした。
 同社ではオリヒメのレンタル価格を月額5万円から4万円に値下げし、普及を加速している。吉藤氏は「さらに月額3万円台まで引き下げ、量産体制を確立していく。オリヒメはこれまでに累計で約50台を出荷しているが、このほど50台のオーダーが入った。2016年中には累計200台の出荷実績をあげ、量産レベルにもっていきたい」と抱負を語る。
 サービスロボット市場が拡大している今、コミュニケーションロボットを手掛ける同社には追い風が吹いている。政府の「一億総活躍社会」実現プロジェクトでも、「介護離職ゼロ」を目指す緊急対策に介護ロボットの導入を促進する補正予算が計上されるなど、福祉サービスロボットの普及支援が加速している。
 小学から中学にかけての3年半、不登校児童として強い孤独感に苛まれた経験を持つ吉藤氏は、高校時代から「孤独への癒し」をテーマとした福祉機器の開発を目指してきた。オリヒメを核に「孤独の解決」を目指す吉藤氏とオリィ研究所の分身ロボット事業は、いよいよ本番を迎える。


<Company Profile>
 株式会社オリィ研究所
 東京都三鷹市下連雀3-3-50 パークファミリア501
 資本金 2010万円
 従業員 6名
 http://orylab.com
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※記事は作成日時点のデータですので、あらかじめご了承ください。

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