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循環型社会の実現に向けて

再利用技術の先端を行く

西尾硝子鏡工業所(東京都)

近年、全国の水際の公園や港湾、漁港などの改修・整備計画が進んでいる。
saiブランド(東京都墨田区)は、特に海辺や川辺の遊歩道といった水際の外構施設を中心に事業を展開し、成長を続けている。掲げるテーマは「資源でありつづけるモノづくり」。企画・開発から施工・メンテナンスまで一気通貫で手掛ける同社には、高い理想があった。

■海や水辺に特化した外構製品
 外構とは屋外に設置された構造物。外壁や手すり、ウッドデッキなどはもちろん、公園に設置された遊具も外構製品のひとつ。saiブランドは、こうした外構製品のうち、特に水辺に特化した外構を得意としている。

 たとえば、ソーラー照明灯。街中でよく見かけるものだが、これは陸地にあるのと海辺にあるのとでは少し事情が違う。さんさんと降り注ぐ陽光を溜めて充電した電気を光らせるのがソーラー照明灯の仕組みだが、それに使われるバッテリーは非常に重いため、根本部分に設置されるのが一般的だ。ところが、同製品を海辺で使うと、サビてしまうばかりか、高潮に襲われたときにバッテリーの機能が失われてしまう。
 同社では、このバッテリーを軽量化し、なるべく上に設置できる照明灯を開発。さらにアルミを採用してサビに強くするなど、一見同じ製品に見えてもまったく違う製品を世に送り出している。こうした海辺に強い製品の開発や設計を行っているのが、同社の事業だ。

■リサイクル木材を使って循環社会を目指す
 こうした特質から、事業の9割近くが公共事業。残りの1割ほどを、商業施設や集合住宅周辺の公園など民間企業からの受注が占めている。
廃木材と廃プラスチックを主原料とした100%再生建材を開発。性能を落とすことなく何度でも、リサイクルできる
廃木材と廃プラスチックを主原料とした100%再生建材を開発。性能を落とすことなく何度でも、リサイクルできる

 建設業界の入札は、設計は設計、工事は工事でかけられる。ところが、同社は設計から施工までを一気通貫して行える、業界でも珍しい企業だ。これは大きな強みだが「うちは高いからね」と結城拓士社長は笑う。
 実は、同社で取り扱っている主な部材は人工木材。建築現場や工場から排出される木材や、火力発電所から排出される石炭灰を混練して成形したものを使用している。普通の木材を使用するよりも、トゲが出たり、ささくれたりすることがなく、水を含んで腐ってしまうようなこともない。「たとえば、鉄はほぼ100%リサイクルされている。この技術がさらに進化すれば、鉄鉱石を輸入することなくリサイクル鉄だけで自動車を作ることも可能になる」(結城氏)。建材の世界でも同じように、日本に有り余る木材を再利用することで、モノを循環させていく社会を目指すという。「鉄がそうであるように、建材の世界も必ずそうなっていく」(結城氏)。
 結城氏がこう断言するのには根拠がある。「昔はゴミが分別されることなんてなかった。今では分別することが当たり前になっている」。木材が必要となったから輸入するというのは、再利用するという意識が今はないからだ。今あるものを再利用していく。結城氏は、そういう社会になってほしいという願いから、自社の活動に「資源でありつづけるモノづくり」というテーマを掲げている。

■無茶な挑戦を続けることで当たり前の時代の先陣を切る
 このような高い理想に裏打ちされた同社の製品は、高い品質とともに、数多くのグッドデザイン賞を受賞するなど、評価は高い。それは造形的なデザインのなかにも機能性を求めたものが多いからだ。「抽象的なデザインもいいが、やはり機能性や合理性は考える」(結城氏)。こうした賞を受賞することで、自社で生み出す外構製品が、独りよがりでないことを再確認しているという。
saiブランド 結城拓士社長<br />「再生技術が向上すれば、国内で資源が循環する。海外での森林伐採などもなくなる。そんな社会にするのが夢」と語る
saiブランド 結城拓士社長
「再生技術が向上すれば、国内で資源が循環する。海外での森林伐採などもなくなる。そんな社会にするのが夢」と語る

 ときにはクライアントから無理難題を押し付けられることもある。「トレーラーのような重いものを運ぶ床板に、なるべく軽くて腐らない木を使ってほしい」という要望には、天然の堅い木と同じ強度で、軽量化できるシステムを考案した。まだ改良の余地はあるが、「こうした無理難題は、本当にいいヒントになる」(結城氏)と目を輝かせて語る。
 そんな同社は、2020年の東京オリンピックで建設される建造物に、自社の製品が使われることに期待を寄せている。基本計画に見直しがかかっている今、水際の東京で開催されるこの祭典で、自社の製品が巣立っていくことは、同社のみならず、「日本の将来にとっても希望のあること」と結城氏は胸を張る。
 まだ使えるものを廃棄し、新たな資源を消費する。こうした社会のあり方を変えるには、「何度でも資源を再利用する技術とその実用化が必要になる。その先鞭をつけていくというのが、この会社の存在理由」(結城氏)。
 循環型社会の実現に向かって、同社は今日もまた、新しいチャレンジを続ける。



<Company Profile>
 株式会社saiブランド
 東京都墨田区緑4-28-6 saiブランドスクエア
 03-6666-9965
 資本金 1000万円
 従業員 6人
 http://www.sai-brand.jp/
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※記事は作成日時点のデータですので、あらかじめご了承ください。

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