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中核拠点施設の「完熟農園パーク」を建設

6次化で地域に新しい産業をつくる

南アルプスプロデュース(長野県)

南アルプス市が地域活性化総合特区に指定された市内全域で展開する6次産業化の取り組に拍車がかかってきた。南アルプス市の全額出資で2013年7月に設立した南アルプスプロデュースが司令塔として進めている“6次化のまちづくり”の中核拠点となる施設が2015年夏にオープンする。南アルプス市の6次化特区事業は、地区ごと、事業主体ごとの部分的な6次産業化にとどまらず、特区指定を受けた市内全域で6次産業化を推進し、農業と観光が一体となった新しい地域産業モデルの創出を目指す。

■6次化特区事業で地域活性化
 国の地域活性化総合特区制度を活用して、地域の6次産業化に取り組む南アルプス市は、山梨県の甲府盆地の西部に位置し、南アルプス山系の山麓に広がる扇状地での果樹栽培が盛んな農業地域だ。すものの生産では日本一の実績を誇り、同市で開発、商品化された特大級のすもも「貴陽」は、重さ世界一でギネスにも登録された「すものの王様」として知られる。すももの他、サクランボ、ぶどう、柿、キーウィなどのフルーツを生産し、市内には観光農園や獲れたての完熟フルーツを販売する直売所、完熟フルーツを使った料理を提供する飲食店などが点在する。
南アルプスの山々と富士山が遠望できる南アルプス市の果樹園
南アルプスの山々と富士山が遠望できる南アルプス市の果樹園

 だが、南アルプス市でも農業人口の高齢化に伴い、農業就労人口が減り続け、農業生産額、農業所得の減少傾向が続いている。耕作放棄地も増え続けており、基幹産業の農業再生は地域行政の大きな政策課題となっている。「そもそも、6次化特区構想は、6次化で畑を守ることが、始まりだった」と語るのは、南アルプス市の企画政策部門で長年、地域再生に取り組んできた南アルプスプロデュース執行役員の櫻本一幸氏だ。

■6次化ネットワーク拠点の建設
 櫻本氏によると、南アルプス市の6次産業化の取り組みは、2011年に地域再生のための「新たなまちづくり構想」に着手し、翌2012年に総合特区に関するまちづくりを協議する「ふるさと愛プロジェクト推進協議会」を設置して6次化特区構想をまとめ、本格的にスタートした。その後、特区申請をして2012年7月に地域活性化総合特区の認定を受けるまでに約2年を要した。
南アルプス市で栽培される完熟フルーツ
南アルプス市で栽培される完熟フルーツ

 特区認定後は市内の南アルプスIC(インターチェンジ)周辺の農地約12ヘクタールを活用する6次化拠点づくりを主体とする総合特区事業計画を策定。農地の地権者との合意を経て2013年7月に6次化拠点施設の整備と運営業務を行う株式会社南アルプスプロデュースが市の全額出資で設立された。この市営企業の社長には中込博文市長が就任、市から派遣された職員3名が目下、2015年夏の開業に向けて施設建設の準備に取り組んでいる。

■地域の全体最適を考えた6次化を推進
 南アルプス市の6次化特区事業は『6次化による競争力と持続力のある農業・地域空間の創造、展開および継承を図る地域活性化モデルの構築』を掲げ、市全体に広がる6次化ネットワークの拠点機能を整備、推進していく方針を打ち出している。多くの地域6次産業化が一部の地区、事業主体単位で進められているのに対して、南アルプス市の6次産業化プロジェクトは、地域全体で6次化を進め、地域経済を活性化する新しい産業を創り出す取り組みとなっている。このため、南アルプス市の玄関口にあたる高速道路インターチェンジ付近に建設予定の6次化拠点は、地域全体の6次化事業の展示・モデル拠点施設となり、南アルプス市の〝6次化によるまちづくり〞のハブとなる。

■〝完熟フルーツ〞を売りにする
 「南アルプス完熟農園」と命名された6次化拠点施設は、地域特産のすもも、サクランボ、ぶどうなどの果物を完熟段階で収穫し、獲れたての完熟フルーツとして施設来場者に提供する完熟フルーツ農場を最大のセールス・ポイントにする。市内には果樹栽培で高い技術力を持つ篤農家がおり、完熟農園では南アルプス商工会による「完熟フルーツマスター」の認定を受けた高度農業技術者が指導する果樹園「完熟フルーツファーム」を中心に、体験観光ファームやオーナーズファームを運営する。また、施設内には農園で獲れたばかりの新鮮なフルーツや野菜を使った料理やスイーツが味わえる農園レストランや農園カフェ、産直ショップに加え、残った果実をピューレやジャムに加工する加工所も併設し、観光と農業の一体的な運営を計画している。「南アルプス完熟農園」の施設は2015年3月には建物が完成、同年7~8月の夏休みシーズンにはフルオープンする予定だ。「一次計画では、年間60万人の来場者、7億8000万円の売上げを見込んでおり、5年後には同80万人、8~9億円規模の事業にしていく」(櫻本氏)とする事業計画を携えて、6次化拠点の中核施設「南アルプス完熟農園」は近く船出する。
「6次化特区事業の第一走者として、来年夏に開業する『南アルプス完熟農園』を成功に導き、地域全体の6次化モデルをつくっていきたい」と語る櫻本一幸・南アルプスプロデュース執行役員
「6次化特区事業の第一走者として、来年夏に開業する『南アルプス完熟農園』を成功に導き、地域全体の6次化モデルをつくっていきたい」と語る櫻本一幸・南アルプスプロデュース執行役員

 しかし、南アルプス市の地域全体に広がる6次化特区での6次産業化は、緒についたばかり。完熟フルーツビジネスの確立と6次化ネットワークの地域展開や地域ブランド化による情報発信とプロモーション、完熟フルーツの収穫体験や食体験で完熟の魅力を観光体験するブランドツーリズムと山岳観光の推進などの着地型観光の取り組みは、次なる課題として横たわっている。
 そうした先行きの課題を抱ながら、地域資源を活かし、地域農業の再生と地域観光の振興を目指す南アルプス市の6次化特区事業が、南アルプスの山麓から始まろうとしている。


<Company Profile>
 株式会社南アルプスプロデュース
 山梨県南アルプス市小笠原376番地(南アルプス市役所内)
 055-284-0036
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※記事は作成日時点のデータですので、あらかじめご了承ください。

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