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柔軟な発想を生み出すパワー・ナップ

〝昼寝制度〟で社員の能力を活性化

OKUTA(埼玉県さいたま市)

短時間の眠りは脳の疲れを癒し、集中力を高める――。住宅リフォームを手掛けるOKUTA(埼玉県さいたま市)は、社員が昼寝をすることを認める「パワー・ナップ制度」を導入し、体の調子に合わせて働ける環境を整えている。
リフレッシュして臨む会議では、柔軟な発想のアイデアが飛び出し、社員の能力が最大限に生かせるようになっている。

■枕で寝てたら仮眠の合図
 昼下がりのオフィスの中、忙しそうに働く社員に混じって、何人かの社員が机に伏せて〝昼寝〟をしている。ここは住宅リフォーム業を営むOKUTAのオフィスだ。
OKUTAでは、社員が就業中でも仮眠を認める「パワー・ナップ制度」を導入。短時間の仮眠で頭をリフレッシュでき、社員は仕事の能率を上げている
OKUTAでは、社員が就業中でも仮眠を認める「パワー・ナップ制度」を導入。短時間の仮眠で頭をリフレッシュでき、社員は仕事の能率を上げている

 寝ている社員は、ドーナツ型クッションなど、昼寝専用の〝マイ枕〟を堂々と机の上に乗せ、その上に伏せるようにして寝ている。「枕をしていることが〝昼寝中〟という合図」と同社の山本拓己社長は笑いながら言う。
 同社では2012年3月から、社員が就業中に仮眠することを認める「パワー・ナップ制度」を導入している。パワー・ナップとは、ごく短時間の仮眠のこと。米国発祥の睡眠法で、短時間で疲労を回復し、脳の働きを活性化する効果があるとされる。
 忙しい日が続けば社員にも疲れが溜まる。がんばっている社員ほど、食後に眠くなることもある。そんな時、無理に起きているよりも、一度寝てしまった方が効率がいい。「身体のリズムに合わせて働いた方が、能率が上がると思った」と山本氏は導入の理由を語る。
 実際、同社では、昼寝の効果の表れなのか、柔軟な発想が出ることが多い。
OKUTAの山本拓己社長。「少し寝ることで、脳の働きがよくなる」と語る
OKUTAの山本拓己社長。「少し寝ることで、脳の働きがよくなる」と語る

 たとえば、以前は店舗での接客に追われる社員がいて、社員全員で議論する時間が持てないことが問題になっていた。そんな時、ある社員から「店の定休日を1日増やし、空いたその日に会議をしよう」という思い切った提案がもたらされた。通常なら定休日を増やすという発想は出にくく、残業して行うことを考えがちだ。だが、この提案はすぐに採用された。そして他の業務に追われることなく、全員が集中して会議できる場が生まれた。これもパワー・ナップによる成果と言えるかもしれない。
 同社の制度では、枕を使っている時はパワー・ナップ中とされ、仮眠中は電話を回さないなどの社員同士の配慮が見られる。仮眠は15~20分と決められている。だが、普通の会社だったら、「忙しいのに、なに寝てるんだ」と苛立つ人もいるだろう。
 同社では昼寝をルール化したことで「寝ている人を温かく見守る空気ができた」と山本氏は言う。社員同士が補い合うようになり、職場のストレスを減らせている。
 パワー・ナップ制度を取り入れたことで、個人の能率を上げるだけでなく、会社全体の業務の流れも活性化できているのだ。

■会議で〝ひらめき〟が生まれる
 「建設業界には昔から昼寝をする習慣があった」と山本氏は明かす。とび職など、危険と隣合わせの職業では、昼食後に仮眠を取り、午後の仕事に入るのが一般的だった。仮眠を取ることでリフレッシュされ、作業のミスや判断力の低下を防げる。それが安全性の向上にもつながるのだ。
 仮眠をしている間、人間の脳は活動を停止しているわけではない。脳の中では、溜まった疲れを回復し、情報を整理している。この時、脳内ではシータ波という脳波が出やすくなっている。この脳波は、人が何かに没頭し、集中した状態をつくり出す働きがあるのだ。
 そのため、仮眠後は、脳の働きが活発になり、〝ひらめき〟が起こりやすくなる。仮眠には、疲れが取れてリフレッシュできるだけでなく、柔軟な発想を生み出す効果もあるのだ。同社では、「会議の前にも、参加者全員でパワー・ナップを行う」と山本氏は言う。会議前に、会場を一旦暗くし、リラックスできる状態にして、参加者全員で一斉に目をつむって15分程度の仮眠を取る。 
同社では、会議の前に参加者全員で仮眠を取り、リフレッシュした頭で会議に臨む
同社では、会議の前に参加者全員で仮眠を取り、リフレッシュした頭で会議に臨む

 同社の制度を知らない社外からの参加者がいた場合、最初は驚くことがある。だが、会議が始まると、お互いに脳の集中力が高まった状態で話し合いができるため「意外に好評だ」と山本氏は語る。新しいアイデアも生まれやすくなるのだ。

■人だけでなく木や森も健全に
 実際、会議では、社員からさまざまな提案が挙がる。「日常の業務では見過ごしがちな疑問に気付くことも多い」と山本氏は言う。
 たとえば、住宅リフォームに携わっているのに「建材となる〝木〟がどのように植えられているのかを見たことがない」という意見があった。これに着目し、同社では建材の木が植えられた場所を実際に社員に見せるため、会社の売り上げの一部を割いて森林活動に寄付。「OKUTAの森」と名付けた。
 自社の建材がどのように生まれているのかを知ることで、「商材に対する理解が深まる」(山本氏)。
「OKUTAの森」。実際の森を訪れることで、自社で扱う建材の木が、どのように植えられているのかを実感。社員は森の手入れにも積極的に参加する
「OKUTAの森」。実際の森を訪れることで、自社で扱う建材の木が、どのように植えられているのかを実感。社員は森の手入れにも積極的に参加する

 また、社員たちが実際の森を目にすることで、林業の苦労も知ることになる。そのため、社員たちの間では、植林や間伐材の伐採に積極的に参加し、自然を大切にする意識も高まっていった。
 社員の中には、家を購入する予定のお客さまを森まで連れて行き、「実際にどの木が建材として使われるのか」を見せる人もいる。将来、自分の家になる木を見れば、家に対する愛情も強まる。森を訪れたお客さまからは、このサービスが好評で、同社のファンも増えているという。
 昼寝に着目し、社員が健康的に仕事ができるように改革した同社。その取り組みの効果は、社員個人だけでなく、会社や地域にまで広がりを見せている。

<Company Profile>
 株式会社OKUTA
 埼玉県さいたま市大宮区宮町3-25 OKUTA Family BLDG
 048-631-1111
 http://www.okuta.com/
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※記事は作成日時点のデータですので、あらかじめご了承ください。

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