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日本初の冷凍たこ焼きを開発~八ちゃん堂~

職業をして品位あらしめよ

八ちゃん堂/川邊義隆

日本全国のスーパーで買える冷凍たこ焼き。
発明したのは父の反対を押し切り、軽自動車1台でたこ焼き屋を始めた男。
八ちゃん堂・川邊義隆会長その人は、たこ焼き屋を1日100万個をつくる冷凍たこ焼き工場を持つ企業に育て上げた。彼を支えたのは自らの職務に対するプライドだった。

■ビジネスは自由なはず
 「ほんわか、ふんわか、ほんわかほい」というフレーズで始まる八ちゃん堂(福岡県みやま市)のテーマソング。テレビコマーシャルで使われ、本社のある九州では知らぬ人はいない。
息子が電子レンジでたこ焼きを温めているのをみてピンときた
息子が電子レンジでたこ焼きを温めているのをみてピンときた

 冷凍たこ焼きを開発した八ちゃん堂の創業者、川邊義隆会長は、もともと大手自動車メーカーの販売代理店に勤務していた。メーカーから福岡・大分地区を任されたその会社は父が社長。姉と妹に挟まれた3人兄弟とはいえ、川邊氏は一人息子。周囲も自分も、当然親の跡を継ぐだろうと考えていた。
 自動車販売の世界は、垂直の指示系統で動く。メーカーと契約した販売代理店はその会社の車だけを売る。名刺のデザインからキャンペーン時の店内レイアウトまで、こと細かにメーカーから指示される。川邊氏はこの画一性に違和感を持っていた。「ビジネスは本来自由なもののはず。もっとのびのびと主体性を発揮できる仕事をできないものか」。そんな思いが高じて、自分でビジネスを始めようと考える。
 たとえば住宅展示場。1カ所にメーカー各社の住宅を集め、比較できるようにする。今でこそ当たり前の光景だが、約40年前、そんな展示場はまだなかった。「父の自動車販売会社に使っていない土地があった」(川邊氏)。そこでやってはどうかと、父に打診してみたが、猛反対に遭う。「メーカーはわれわれを信じている。その信頼に応え、最大の販売実績を上げることがビジネスマンとして進むべき道だ」──自動車一筋でいけ、というのが父の主張だった。
八ちゃん堂の創業者、川邊義隆会長。「企業品質をいかに向上させられるかで、その企業が一流かどうかが決まるのだと思う」
八ちゃん堂の創業者、川邊義隆会長。「企業品質をいかに向上させられるかで、その企業が一流かどうかが決まるのだと思う」


■迷わず自分の道をゆけ
 それでも自分でやりたいという想いは強く、次々と新しい事業を考えた。DIYセンター、エクステリア販売、シチュー店のチェーン展開……。今でこそ一般にある業態だが、当時はまだ世の中に出ていなかったものばかり。だが、どれをやるにも大きな資本が必要であり、それは出しようもない。 そんな時ふと思い出したのが、かつて移動たこ焼き屋をやるからと、車を買いに来た人のことだった。「たこ焼きは子どものおやつにもビールのつまみにもなる。年齢性別を問わず、これほど奥行きと幅のある食品はない」。川邊氏は〝和製ファストフード〟としてのたこ焼きに可能性を感じた。「しかも車1台で始められる。『これをやろう』と腹を決めた」と振り返る川邊氏。父の猛反対も「俺の金や保証は当てにするな」との言葉も顧みなかった。
 その時35歳。妻と3人の子どもを抱えての選択だった。
 しかし川邊氏には確信があった。「たこ焼きの可能性に気づいている人はまだいない。今のうちに組織化できれば成功する」。古巣でライトバンを購入し1977年2月、川邊氏のたこ焼き人生が幕を開けた。
黄色と赤の目立つ配色や覚えやすいテーマソングは見る人、聞く人の印象に強く残る
黄色と赤の目立つ配色や覚えやすいテーマソングは見る人、聞く人の印象に強く残る

 当初は焼き方すらわからない中での営業。マイクで呼びかけながら街を回ったが、うまくいくわけもない。開始から2カ月はほとんど売れない日が続いた。「商売は甘くない。できるだけはやく戻って来い」。〝見切り千両〟という言葉もある。失敗は早いほうがいいとの父の配慮だった。
 だがその時それまで何も言わなかった母から紙を渡される。そこには迷わず自分の道を進めと励ますメッセージがつづられていた。

■経営資源は最大限活用せよ
 あきらめず移動販売を続けるうちに、最初は少しずつ、そして加速度的に売れるようになっていく。営業開始から3カ月が経つ5月の連休頃には爆発的に売れ出した。 知名度向上のためにテーマソングをつくり、それを流しながら移動販売したのが功を奏した。
 一度売れ出すと止まらない。平日は平均3万円、休日はその倍以上の7万円超え。月の売り上げは100万円以上。創業から1年で11台の車を所有し、たこ焼き屋を組織化して運営する企業に成長していた。
 こうして事業の拡大に成功した川邊氏は、経営の本質について「手元の経営資源を最大限活用することだ」と語る。
 川邊氏が考える経営資源とは、人・もの・金・技術・情報、そして時間。「これらを活用できるかどうかでビジネスの継続性が決まる」(川邊氏)
 この知見は意外なことに、仕事外で学んだという。高校時代から本格的な登山に親しみ、日本アルプスからヒマラヤまで、さまざまな山に挑戦してきた川邊氏。登山と経営は似ているという。
 野山を散策するトレッキングなどと違い、ヒマラヤ登山は命がけだ。メンバーの選定、食料やペース配分、氷壁を登る技術、天候に関する情報……。
 もしパートナーの体調が悪いことを見過ごせば、共倒れになる危険性もある。最低限の荷物で最大の効果を得られるよう、また最短で到達できるよう考え判断する。
 経営も同じだ。先を見据え、今手元にある経営資源を最大限有効活用する方法を常に考え、最短で目標を達成できるよう行動しなければならない。

※記事は作成日時点のデータですので、あらかじめご了承ください。

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