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地域のシニアを元気にしたい

自分史づくりで見つけた新たな目標

月刊「WizBiz」2011年2月号より

現役引退後、目の前に広がる日常。
「これから何をしよう」と戸惑い、答えを見つけあぐねる人も多いだろう。
リフォーム会社、ケイハンサービス(大阪府吹田市)を設立した田中敏雄会長は、そんな状況から「自分史づくり」を通じて脱出、新たな事業を興した。

■65歳で会社を売却
 高齢者向けのバリアフリーリフォームを手がける会社の経営。建築士の資格取得のための勉強。地元の高齢者を元気にするための支援活動。やることはたくさんある──。ケイハンサービスの田中敏雄会長は、「毎朝起きるのが楽しみ」と語る。
田中敏雄氏。引退後に立ち上げたケイハンサービスにて
田中敏雄氏。引退後に立ち上げたケイハンサービスにて

 その生き生きとした表情からは、手織絨毯のクリーニング会社を経営していた頃を上回る充実ぶりが感じられる。聞くと、こうした生活に踏み出す契機となったのは、「自分史づくり」だったという。
 田中氏は39歳で脱サラし、起業。2004年、65歳の時に体力低下から仕事を続けることに不安を感じ、会社を売却した。
 その後、まず取り掛かったのが「自分史づくり」だった。「人生を振り返ると、多くの人にお世話になってきたことを実感した。これからは恩返しをしたいと思った」(田中氏)
 そこで20年先までの「長期人生計画」を立てようと考えた。やりたいことを書き出し、「何歳で何をやるか」を決めていった。20年後の85歳までやりたいことをやっ
て、元気に長生きするにはどうしたらよいか。出てきた結論は「働くこと」だった。

■ニュースレターを発行
 田中氏が仕事として選んだのは住宅をバリアフリーにするリフォーム業。年齢が近い自分なら、高齢者の住まいに関する悩みを同じ目線から解決できると考えたからだ。田中氏は銀行から借り入れをせず、自己資金のみで会社を設立。以前の会社の顧客を中心に営業を開始した。
 あわせて建築の専門学校に通い、まずは二級建築士の資格取得を目指している。
 田中氏の活動はそれだけではない。自身が暮らす千里ニュータウンは高齢化が進んでいる。そこで、地元の高齢者を元気にするという目的で「千里高齢者元気研究所」を立ち上げた。同研究所はニュースレターを年4回、5000部を発行。これは地域の公共施設などに置かせてもらっている。この中で地域のサークル活動や元気な高齢者を紹介。撮影から記事執筆まで、すべて自分で行う。
田中氏が制作しているニュースレター。引退後、デジタルカメラの使い方を学び、田中氏自身が撮影している
田中氏が制作しているニュースレター。引退後、デジタルカメラの使い方を学び、田中氏自身が撮影している

 実は田中氏は引退するまで、パソコンを使ったことがなかった。そこで引退後、半年間パソコン教室に通って習得、ニュースレターづくりに役立てている。
 発行の目的は「高齢者に地域の活動に参加してもらうこと」だ。「年金生活に憧れる人は多い。しかし実際は張り合いがなく、わびしさを感じる人も多い」と田中氏は指摘する。
 特に男性は、引退するまで会社を中心にした生活を送っていることが多い。そのため引退後に目標を失ってしまうケースもある。「自治体などがさまざまな活動を行っているので、それを利用して積極的に地域に溶け込むことが大事」と田中氏は話す。
 会社中心の生活だった人は、参加にためらってしまうかもしれない。だが、勇気を出して飛び込めば新たなつながりができ、張り合いも生まれる。田中氏自身、さまざまな活動に参加し、毎日を楽しんでいる。

■目標は紙に書く
 引退後に「長期人生計画」を立てた田中氏。それだけではなく、毎年正月に今年叶えたいと思っている夢を紙に書く。2010年の目標は、「1日1万歩、歩く」「妻の誕生日を家族全員で祝う」など多岐にわたる。
引退後につくった長期人生計画。これ以外に毎年、正月に目標を書く。仕事から家族のことまで多岐にわたる
引退後につくった長期人生計画。これ以外に毎年、正月に目標を書く。仕事から家族のことまで多岐にわたる

 その用紙は毎日手帳にはさんで持ち歩くほか、会社と家族に公表している。
 田中氏の行動を見て、家族も同じように目標を立てるようになったという。互いに目標を立てて、それを見せ合うことで、家族の間の会話も増えた。
「以前は家で仕事の話をしなかった。しかし今は仕事も含め、話題が増えたと思う」(田中氏)
 今後、田中氏は、高齢者を支援する活動に力を入れたいと考えている。千里ニュータウンの魅力を全国に対して発信し、住民がその魅力を再発見する手助けをしたいと考えている。
 また、仕事の面でもさらに高齢者の雇用を進めたいと考えている。現在も週に3日ほど、交代で高齢者に勤務してもらっている。「これまでの経験を生かせるし、60歳代や70歳代のお客さまが多いので、相手の気持ちがよくわかるなどメリットがある」と田中氏はその効果を話す。
 体力が低下するため、毎日働くのは難しいが、交代制なら勤務できる。企業の側が受け皿を整えれば、経験豊富な人材を雇用できるのだ。
 引退後も働きたいという気持ちを持っている高齢者は多い。そうした高齢者が活躍できる場を設ければ、地域も活性化する。
 生涯現役を目指し、さまざまな活動をする田中氏。その生き方は、年を重ねるにつれて輝きを増している。

<Company Profile>
ケイハンサービス
大阪府吹田市寿町2-27-17
資本金 400万円
従業員 3人
06-6383-6888
http://www.keihanservice.co.jp/

月刊「WizBiz」2011年2月号より抜粋
本誌では、「今どきシニアはシニアは十人十色」と題し、下記企業の事例もご紹介しています。
定期購読の詳細はこちら(Fujisanへ)
定期購読の詳細はこちら(Fujisanへ)

・シニアは十人十色なんです
 相手は経験豊富な世代と心得よ [アリア]
・ブランド力より独自性
 10年先も伸びゆくマーケットで成功の秘訣を探る [羽立工業]
・レッスン仲間に会いたくて
 低価格で集客目指す英会話教室の戦略  [ジー・エデュケーション]
・「おばあちゃま」になった時のために
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※記事は作成日時点のデータですので、あらかじめご了承ください。

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