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「手ピカジェル」/健栄製

<ヒットのツボ>水もタオルも使わずに家で手を清潔にできる

ベンチャー・リンク2009年6月号掲載

石けんやハンドソープを使って手を洗い、タオルで水をふき取るという従来の手洗い習慣を一新。「水もタオルも必要ない、新しい手洗い習慣」を家庭にもたらしたのが「手ピカジェル」だ。


Point!
医療用のアルコールジェルを家庭用にパッケージしたもので、感染症やウイルス性の病気の予防に効果が期待できる。
Point!
やわらかなジェルタイプで、手に伸ばしやすく、液だれもない。ジェルが乾いたら消毒完了。
Point!
医療用アルコールジェルと同一成分のため、人体にやさしく、子供でも安全に手洗いできる。
Point!べたつきはなく、サラッとしながらもしっとりとした使用感。

製品の特徴

 製品は病院など医療の現場で、手の消毒に広く使われているアルコールジェルを家庭用にパッケージしたもので、感染症やウイルス性の病気予防に効果が期待できる。サイズは2種類。60ml/525円、300ml/1050円で市販されている。

 使い方は簡単。ポンプから適量を押し出し、手の隅々にすりこむだけ。やわらかなジェルタイプで、手に伸ばしやすく、液だれもない。ジェルが乾いたら手の消毒は完了。洗い流さなくていいので、水もタオルも必要ない。手軽で場所を選ばず使えると好評を博している。医療用アルコールジェルと同一成分を使用しており、人体にもやさしく、子供でも安全に手洗いできるのもポイントの1つだ。使用後はアルコール独特のスッとする感覚があるが、べたつきはなく、使用感はサラッとしている。

 これまで国内には同種の商品はなかったが、欧米では以前から家庭向けのアルコールジェルが販売されて年間300億円の売り上げ規模がある。健栄製薬の滝野六朗社長は「海外には市場があるのだから、日本でも発売すればヒットするのではないか」と考え、2006年9月に販売を開始。予想は的中し、発売以来、好調な売れ行きで推移している。

ヒットへの道のり

 ノロウイルスやO-157、インフルエンザなど、ウイルスのもたらす危険な病気や感染症の流行で手洗いへの関心が高まっている。予防接種などの予防策に加え、手洗いやマスクなど「ウイルスを体に入れない」方法を併用し、さらに予防効果をアップさせる人が増えた。特に子供を持つ女性や20~30代の女性など、清潔や健康に注意を払う層から広く支持されたのがヒットの理由。ターゲットの主婦層に向けた媒体での広告や、イメージキャラクターの「アライグマちゃん」を派遣して幼稚園でイベントを開催するなど、認知度アップに向けた取り組みも積極的に行なっている。

 発売元の健栄製薬には、薬局やドラッグストアへの販路はあったが、コンビニエンスストアとの取り引きはなかった。発売当初は滝野社長が自ら営業に回るなど尽力したという。大手コンビニの経営トップが製品を知って気に入り、トップダウンで店舗への導入を決めるなど、スタートダッシュに成功し、現在へとつながっている。

現在の販売状況

 発売から2年半での出荷本数は300万本。しかし欧米での同種商品の売れ行きを考えると、販売本数がさらに伸びる可能性は十分にあると考えている。今後は製品の高品質化と知名度の向上を目指す。製品の性能に関しては、少しずつ改良しているほか、ローズの香りを付加した新製品も仲間入りしており、より多様な需要に応える魅力的な製品構成へと進化した。知名度の面では、手ピカジェルを知らない人や手洗いの習慣がない人へと広く訴えていくという。これまでの広告効果もあり、女性からの認知度が高い一方、男性からの認知度は低いのが現状。今後は男性もターゲットに、ユーザーの拡大を図る。

健栄製薬
【所在地】〒541-0044 大阪市中央区伏見町2-5-8
【設 立】1964年
【資本金】9900万円
【売上高】113億4425万円(08年8月期)
【従業員】324人
【事業内容】医薬品、医薬部外品、家庭薬などの製造・販売
【URL】http://www.kenei-pharm.com/

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開発秘話

サラッとした使用感を追求し
広告戦略でヒット商品にする


滝野六朗社長
1963年大阪市生まれ。86年慶応大学経済学部を卒業後、明治製菓に入社。91年健栄製薬に入社。営業を経験したのち取締役、常務、副社長を経て、02年に父・滝野哲の後を継いで社長に就任。


 手ピカジェルは、医療用に専売されていたアルコールジェルを家庭用パッケージで販売したものです。海外では家庭に根付いている商品ですが、社内からも「日本では売れないのではないか」との声があったので、一般家庭からのニーズの高さに、納得と驚きの両方を感じています。

手ピカジェルのホームページ。健栄製薬は様々な手法で商品をアピールしている。
手ピカジェルのホームページ。健栄製薬は様々な手法で商品をアピールしている。
 商品開発にあたってのこだわりは、心地よい使用感と手あれ対策です。一日に何度も手に塗って使うものですから、徹底的に手あれ防止に取り組みました。化粧品などにも使われるヒアルロン酸、グリセリンなどを配合し、サラッとしながらもしっとりとした使用感を実現し、手荒れしない製品を作りました。医療の現場でも、医師や看護師から高い評価を得ています。

 まったく新しい製品でしたから、広告にも力を入れました。自社で雑誌広告やテレビCMを作るのは初めてでしたから、制作会社を探すことからスタートしました。一般向けの製品を大々的に売り出すのは初めて、自社で広告を出すのも初めてと、“初めて尽くし”のなかで生まれ、育ち続けている製品です。

文・目片雅絵

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