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<新事業発見!>農産物の安全・安心には製造技術管理がカギ
2009年8月5日更新
食料の自給率低下が言われだして、かなりの年月がたつ。農業においては、先進国独特のコスト高と後継者不足が問題となっている。
このような状況を一気に解決できるかもしれないニュービジネスとその付随技術を紹介する。
野菜は育てる時代から製造する時代へ!?
日本得意の製造業の製造管理技術を活用して、まるで工場のように野菜などの農産物を製造する植物工場が広がりを見せている。植物工場は、閉鎖系の環境で水耕栽培を行ない、完全無農薬で栄養価の高い作物を安定的に生産できる。
こうした特徴に加え、
A)国民の食の安全・安心に対する関心が高まっている。
B)農地法の改正により農業への株式会社の参入が可能になった。
C)植物工場で光源として利用する発光ダイオード(LED)、レーザー・ダイオード(LD)などの技術革新が進んだ。
といった背景から植物工場が注目されている。
数年前からキユーピー、カゴメやパソナが植物工場を稼動させており、話題性はあった。パソナなどは東京大手町の高層ビルの地下1階をすべて植物工場にしていたことがマスコミに何度も紹介されたが、なかなか本格的な事業にならなかった。
しかし、今年に入り、大手ゼネコンや大手化学品メーカーなどが相次いで植物工場事業へ参入を発表したことから市場が活性化されてきている。この背景には、農林水産省の植物工場設置得の優遇処置があるからであろう。
昨年12月に、農水省は、野菜などを人工的な光や温湿度管理で栽培し生産量を通常の10~20倍に増やすことができる「植物工場」の導入を促進するため経済産業省と農水省は、農地法の改正などによる特例措置を設ける方針を固めた。また2009年3月末をめどに実施可能な施策から順次実施している。
民間企業の資本や技術力を活用し食料を増産できる植物工場は、約40%に低迷する「食料自給率」の向上につながると期待されている。とはいえ多くの規制が普及の障害になっていた。やっとその障害を取り除こうとする試みが始められた。
植物工場を助ける新技術
ここでご紹介するのは、大手企業であるが、大手企業自らが植物工場を運営しようというものではない。
大成建設は、自社で保有している遊休地を利用してもらうために植物工場に必要な設備を付帯し販売・賃借するものであるし、昭和電工や三菱化学は自社の技術をより発展させたもので、これから植物工場を行なおうとしている人には朗報となる技術であろう。
大成建設はメーカー向けに遊休工場を植物工場に転用する事業を開始した。不況によりメーカー向けの工場用地に余剰が発生したため、植物工場に転用する事業となっている。
植物工場は、水耕栽培と人工太陽(電熱器)により室内で季節に関係なく野菜を栽培するものため、遊休工場の転用は、比較的スムーズに移行しそうだ。
次に人工太陽として必要な熱源を昭和電工は栽培コストの抑制につながる専用の発光ダイオード(LED)チップ(植物工場に適した赤色LEDチップ)を開発した。 波長を光合成反応の効率が高まるとされる付近に合わせ、出力は従来製品の3倍程度で、使用電力を約7割を削減できるので、生産コストを大幅に低減できる可能性がある。4月から植物工場を実際に運営している企業や施工会社を対象にサンプル出荷を始める。
開発したチップはガリウムなど4つの元素から成る「四元系LED」と呼ばれる製品で、波長は660ナノメートル※で、発光出力は11ミリワットと同じ波長の製品としては世界最高の出力を達成している。
※ナノメートル:1メートルの10億分の1
徹底した生産管理で食の安全性を高められるほか、食料不足に悩む海外でも注目を集めている。成長分野ととらえて参入する動きが、産業界でさらに拡大しそうだ。
この2社は、植物工場プログラムを景気低迷で大規模な減産を実施している自動車や電機関連メーカーに対し、余剰設備の転用を提案し、大手企業20社からの引き合いがあったという。できた野菜の販路確保なども支援。初年度に5億円の売上高を見込んでいる。
日本国内だけではなく、海外に目を向けている企業もある。
大手化学メーカーでは三菱化学も野菜栽培ベンチャーと植物工場の共同開発に着手、中東地域での事業化を目指している。三菱化学では、得意の海水を淡水化する事業の応用として、野菜を屋内で栽培している。
植物工場は屋外で栽培するより水の使用量が減らせる。特に石油以外これといった産業がなく、砂漠が広がっていた中東において、農業という新しい産業を根付かせることができると期待されている。食料問題を背景に、中東以外でも計画的に量産できる植物工場の需要は広がる可能性がある。
まとめ
農産物を工業製品のように製造するということは、感情的にはなかなか相容れないものがある。しかし、よく考えてみると、植物工場で栽培(製造)される野菜ほど安全・安心に合致した商品は無いような気がする。
植物工場は基本的にクリーンルームによる栽培となる。クリーンルームであるため病原菌や害虫の侵入はあり得ない。そのため農薬を使用する必要がなくなる。
熱源である人工太陽は、早い話、強力な電灯だ。そのため工場内での多段化が可能となり、農産物製造が向く農地が限られている日本において土地を有効利用できる。
屋内であるため、季節による変動もなく、温度変化などの気象状況による豊作・不作も発生しない。極端なことを言うと、農産物であるのに「必要な時に必要なだけ」収穫することが可能なのだ。
なぜこのような便利で有効な農産物が、やっと今になって広がったのであろうか? もちろん農協のしがらみなど政治的な問題もあったであろう。しかし、普及しなかった最たる要因は、消費者の「感情」ではないか。太陽を浴びている野菜は健康的で、電灯の光で栽培された野菜は、なんとなく不健康というイメージがあるからかもしれない。
本来は逆なのにも関わらず、このようなイメージが根付いている。遺伝子組み換え野菜や、バイオテクノロジーで開発された野菜(茎にトマトが根にジャガイモが育つポマトのようなもの)より、よっぽど健康的であるのに……。
いずれにせよ、植物工場製の野菜をどのように消費者に根付かせるのかがこれからの最大の課題ではないか。技術的には何の問題もないのだから、あとはイメージの問題であろう。
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こうした特徴に加え、
A)国民の食の安全・安心に対する関心が高まっている。
B)農地法の改正により農業への株式会社の参入が可能になった。
C)植物工場で光源として利用する発光ダイオード(LED)、レーザー・ダイオード(LD)などの技術革新が進んだ。
といった背景から植物工場が注目されている。
数年前からキユーピー、カゴメやパソナが植物工場を稼動させており、話題性はあった。パソナなどは東京大手町の高層ビルの地下1階をすべて植物工場にしていたことがマスコミに何度も紹介されたが、なかなか本格的な事業にならなかった。
しかし、今年に入り、大手ゼネコンや大手化学品メーカーなどが相次いで植物工場事業へ参入を発表したことから市場が活性化されてきている。この背景には、農林水産省の植物工場設置得の優遇処置があるからであろう。
昨年12月に、農水省は、野菜などを人工的な光や温湿度管理で栽培し生産量を通常の10~20倍に増やすことができる「植物工場」の導入を促進するため経済産業省と農水省は、農地法の改正などによる特例措置を設ける方針を固めた。また2009年3月末をめどに実施可能な施策から順次実施している。
民間企業の資本や技術力を活用し食料を増産できる植物工場は、約40%に低迷する「食料自給率」の向上につながると期待されている。とはいえ多くの規制が普及の障害になっていた。やっとその障害を取り除こうとする試みが始められた。
植物工場を助ける新技術
ここでご紹介するのは、大手企業であるが、大手企業自らが植物工場を運営しようというものではない。
大成建設は、自社で保有している遊休地を利用してもらうために植物工場に必要な設備を付帯し販売・賃借するものであるし、昭和電工や三菱化学は自社の技術をより発展させたもので、これから植物工場を行なおうとしている人には朗報となる技術であろう。
大成建設はメーカー向けに遊休工場を植物工場に転用する事業を開始した。不況によりメーカー向けの工場用地に余剰が発生したため、植物工場に転用する事業となっている。
植物工場は、水耕栽培と人工太陽(電熱器)により室内で季節に関係なく野菜を栽培するものため、遊休工場の転用は、比較的スムーズに移行しそうだ。
次に人工太陽として必要な熱源を昭和電工は栽培コストの抑制につながる専用の発光ダイオード(LED)チップ(植物工場に適した赤色LEDチップ)を開発した。 波長を光合成反応の効率が高まるとされる付近に合わせ、出力は従来製品の3倍程度で、使用電力を約7割を削減できるので、生産コストを大幅に低減できる可能性がある。4月から植物工場を実際に運営している企業や施工会社を対象にサンプル出荷を始める。
開発したチップはガリウムなど4つの元素から成る「四元系LED」と呼ばれる製品で、波長は660ナノメートル※で、発光出力は11ミリワットと同じ波長の製品としては世界最高の出力を達成している。
※ナノメートル:1メートルの10億分の1
徹底した生産管理で食の安全性を高められるほか、食料不足に悩む海外でも注目を集めている。成長分野ととらえて参入する動きが、産業界でさらに拡大しそうだ。
この2社は、植物工場プログラムを景気低迷で大規模な減産を実施している自動車や電機関連メーカーに対し、余剰設備の転用を提案し、大手企業20社からの引き合いがあったという。できた野菜の販路確保なども支援。初年度に5億円の売上高を見込んでいる。
日本国内だけではなく、海外に目を向けている企業もある。
大手化学メーカーでは三菱化学も野菜栽培ベンチャーと植物工場の共同開発に着手、中東地域での事業化を目指している。三菱化学では、得意の海水を淡水化する事業の応用として、野菜を屋内で栽培している。
植物工場は屋外で栽培するより水の使用量が減らせる。特に石油以外これといった産業がなく、砂漠が広がっていた中東において、農業という新しい産業を根付かせることができると期待されている。食料問題を背景に、中東以外でも計画的に量産できる植物工場の需要は広がる可能性がある。
まとめ
農産物を工業製品のように製造するということは、感情的にはなかなか相容れないものがある。しかし、よく考えてみると、植物工場で栽培(製造)される野菜ほど安全・安心に合致した商品は無いような気がする。
植物工場は基本的にクリーンルームによる栽培となる。クリーンルームであるため病原菌や害虫の侵入はあり得ない。そのため農薬を使用する必要がなくなる。
熱源である人工太陽は、早い話、強力な電灯だ。そのため工場内での多段化が可能となり、農産物製造が向く農地が限られている日本において土地を有効利用できる。
屋内であるため、季節による変動もなく、温度変化などの気象状況による豊作・不作も発生しない。極端なことを言うと、農産物であるのに「必要な時に必要なだけ」収穫することが可能なのだ。
なぜこのような便利で有効な農産物が、やっと今になって広がったのであろうか? もちろん農協のしがらみなど政治的な問題もあったであろう。しかし、普及しなかった最たる要因は、消費者の「感情」ではないか。太陽を浴びている野菜は健康的で、電灯の光で栽培された野菜は、なんとなく不健康というイメージがあるからかもしれない。
本来は逆なのにも関わらず、このようなイメージが根付いている。遺伝子組み換え野菜や、バイオテクノロジーで開発された野菜(茎にトマトが根にジャガイモが育つポマトのようなもの)より、よっぽど健康的であるのに……。
いずれにせよ、植物工場製の野菜をどのように消費者に根付かせるのかがこれからの最大の課題ではないか。技術的には何の問題もないのだから、あとはイメージの問題であろう。
※記事は作成日時点のデータですので、あらかじめご了承ください。















