「トラベラーズノート」
<ヒットのツボ>使い込むほど味わいが増す 一生もののシンプルノート
デザインフィル ベンチャー・リンク2009年4月号掲載
単に“売れるノート”を目指すのではなく、“自分たちが欲しいノート、一生ものにしたくなるノート”をテーマにこの「トラベラーズノート」開発を始める。現在までの累計出荷数は7万5000冊。発売から約3年が経つ今も、月に平均2000冊が売れている。
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書き心地にこだわり、高品質の同社オリジナルのダイアリー用紙(MD用紙)を使用。
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使う人の手になじみ、経年変化でつやも出る革表紙は、タンニンでなめした牛革。タイのチェンマイで加工している。
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差し替え用リフィルノートは、横罫、画用紙、軽量紙、セクション(方眼紙)、クラフト、無罫、日記など各種あり。
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ポケットシール、ジッパーケース、ペンホルダー、リペア用キット(修繕用のゴムひも、錫玉)など、自分仕様にできる専用キットも充実。
製品の特徴
大きさはA4判用紙を3つ折りにした縦長サイズで、取りはずし可能なカバーが付いた手帳である。カバーは広げると1枚の切り落とした革で、背にある錫製パーツでゴムが留められ、そこにノートを挟んである。実にシンプルな構造だ。
このトラベラーズノートを最初に愛用するようになったのは、手帳を常に携帯してアイデアや記録を書き込む人々だ。例えばデザイナーやイラストレーターなどクリエイティブ系の職業人が多い。
発売は2006年3月。製品の特色をひと言で言えば、「長く愛着の持てるノート」である。挟み込むリフィル(補充)ノートを替えれば、なめし革の経年変化を楽しみつつ使い続けることができる。名称の通り、旅先での記録やスケッチを残したりするのと同時に、「旅するように」毎日を過ごし、日々の記録付けを喚起することを考えて作られている。
革カバーは使い込むほどに味が出るように、素材の風合いを生かした黒と茶色の2色。紙は万年筆でも鉛筆でも書き心地のいい自社オリジナル素材を使用している。価格はカバーに白地のノート、布ケース、スペアのゴムバンドが付いたスターターキットで3360円。胴部分を1周して本体を留めるタイプのゴムバンドは、裏表紙中央の穴に通して固定してあり、チケットや折りたたんだ紙を挟んでも落ちにくいようにできている。
ヒットへの道のり
トラベラーズノートを開発・販売したデザインフィルは、発売と同時に同製品専用のホームページを立ち上げた。知名度を高めるとともに、購入者同士の意見交換の場として活用してもらいたいという思いからである。愛用者がどう活用しているのかをイラストや写真を交えて披露してもらえば、それが何よりの訴求になると考えたのだ。
ホームページには愛用者の声が少しずつ集まり話題性も出て、徐々に認知度が高まっていった。また、文房具にこだわりを持つ人たちが、店頭でトラベラーズノートを購入し、自身のホームページやブログで好意的な感想を書いてくれたことも奏功した。
実は開発時、社内には「あまりにシンプルすぎて不親切な商品ではないのか」と疑問視する声もあった。これに対して開発チームは「シンプルなデザインだからこそ、このノートを使う人が自分好みに作り変えやすい。それこそが商品として最も理想的な形のはず」と社内を説得した。
実際に発売してみると、愛用者たちは無地の革表紙に装飾をしたり、しおりひもにカラフルなビーズを通したりと、思い思いの使い方を楽しんでいることが分かった。やはり開発チームの読みは正しかったわけだ。
最初は必要最小限に用意していたリフィルと付属品は、購入者の要望に応えるという形で、順次拡充させていった。
現在の販売状況
現在までの累計出荷数は7万5000冊。色別では、やわらかな印象の茶色の売り上げが全体の約7割を占める。発売から約3年が経つ今も、月に平均2000冊が売れている。今後も引き続き購入者の声をきめ細かにすくい上げ、リフィルの種類のさらなる増加、ホームページの充実に尽力する方針だ。
デザインフィル【所在地】〒150‐0013 東京都渋谷区恵比寿1‐19‐19
恵比寿ビジネスタワー9F
【設 立】1950年
【資本金】2億34万円
【売上高】41億5000万円(08年6月期)
【従業員】142人
【事業内容】デザインステーショナリーの企画・製造。企業向けプレミアム、OEM等のプランニング・企画・デザイン・制作など
【URL】http://www.designphil.co.jp
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開発秘話
包装での演出も考え細部までこだわった
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プロダクトグループのプロデューサー。39歳。トラベラーズノート企画開発の中心人物。同製品愛用者層をさらに拡大すべく、ホームページなどでの様々な仕掛けを考案中。
![]() 使用の一例。クラフトのリフィルに、旅先でのチケットやメモをちりばめている。しおりの先に留めたビーズが粋。 |
すると現場では、こんなノートが欲しかったと予想以上の反響があったのです。それで商品化が決定しました。発売までは比較的、自由裁量でできたので、担当者たちはまるで学園祭のように盛り上がっていました(笑)。
また、自分の分身のように愛着を持ってもらうため、最初の出合い、すなわちパッケージを開けた時の〝ドキドキ感の演出.にもこだわりました。
商品説明の帯、布製の袋、箱の形状など、どこをとっても手抜きはしていません。その甲斐あって、ホームページへのうれしいメールは、年を追うごとに増えています。
文・近野ひろ美
※記事は作成日時点のデータですので、あらかじめご了承ください。


















