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<朝礼ネタ>中国における官僚―中国ビジネスの基本

キャトル・バン 2009年7月1日更新

中国におけるビジネス展開だけでなく、彼らとの商取引には日本とは違う常識や歴史があります。その中でも官僚についての基本的な知識が必要とされます。

権限利用し、官僚がキックバックで蓄財

写真はイメージです。
写真はイメージです。
 しばしば“政治の官僚支配”が話題になりますが、官僚政治というのはアジアで独特の発展を遂げました。特に中国では、古代から科挙という超難関の官吏登用制度が続き、狭き門のエリート職業が形成されてきたのです。
 一方、日本では庶民レベルでも高い教育水準を基盤に、優秀な人材を身分にこだわらず登用する制度が明治時代以後に形成され、現在に至っています。

 官僚政治では、よく“特権を利用した汚職”が問題になります。日本でも、中央政府から地方自治体まで、賄賂や横領、更に公共事業発注の官製談合などさまざまな官僚犯罪が起きます。でも、中国ではどうでしょうか。中国でも大きな汚職が話題になることがありますが、“賄賂なしに何も進まない”といわれるほど、底なしの官僚腐敗が存在しており、報道で明らかになるのは氷山の一角とされています。

 中国では、成功している実業家の多くが高級官僚の親族や縁者です。ある中国人実業家が筆者に思わずもらした言葉は、次のようなものでした。

「弟がとうとう局長クラスになった。在任中は、一族で大いに稼がなきゃ」

 官僚が親類、縁者の利益のために働くのは、中国では当たり前のことなんですね。特に許認可権を持つ幹部の席についた官僚は、それをフルに活用し、キックバックで蓄財します。これがごく当たり前のことになっています。

一方で、新たに中国に進出しようとする日本企業は、有力な中国官僚の“縁者”となるために高価なお土産から始まり、最終的には“顧問料”名目の賄賂をつかませるわけです。

「先富論」の功罪

 中国のようなことが日本で横行したら、今以上に官僚から逮捕者が続出するでしょう。では、どうして中国では日本ではありえないような、賄賂行政、官僚の腐敗が横行しているのでしょうか。
 それは、ひと言でいって社会と政治の中にしっかりとした基盤を持つチェック機能が働かないためです。これは、中国共産党が強権的に一党支配する社会主義的な中央集権政治が必然的にもたらしているものです。

 かつて、みなが貧しくとも平等な分配制度が維持され、硬直的ではあるが行政支配の行き届いた計画経済の運営が前提の社会主義経済システムでは、もちろん高級幹部クラスの特権はあったものの、官僚機構全般に及ぶような汚職の存在する余地はなかったでしょう。

 しかし、国民経済を発展させるうえで、足かせだった社会主義的計画経済が放棄され、共産党独裁の政治制度をそのままにした資本主義経済システム=市場経済が持ち込まれて以降、中国の官僚機構はまったく新しい条件の中に置かれました。

「先富論」(まず富となるのは、一部の人、地区に譲る。しかし豊かになった一部の人、地区は、豊かさから取り残された人や地区を幇助することを義務とする)――改革・開放路線で資本主義経済発展への道を開いた最高指導者・トウ小平氏のこの政策により、まず行政権限を有する高級官僚の縁者や官僚自身から経済発展の成果を先取りすることになりました。

 「先富論」が中国の高度経済成長の起爆剤になったことは確かですが、貧富の格差が拡大し、発展の歪みが指摘されるようになっても、既得権を手放さない官僚とその親族、縁者が貧富の格差の是正を阻害することになっているのです。

 日本では、官僚が汚職を引き起こすといっても、それが経済全体を不正常にしてしまうことはありません。これは、民主主義的な政治制度やシステムの中に設けられた相互チェック機能が、不十分ながら働いているからです。

 今後、正常な経済発展の道を拓く上でも、中国政治の民主化が切実な課題となっていくでしょう。また、それをにらみながら、日本も官僚主導の政治や行政システムをより民主化、透明化し、汚職を防ぎ、真に社会全体に奉仕する行政システムを作っていくことが、私たち自身の課題でもあります。

※記事は作成日時点のデータですので、あらかじめご了承ください。

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