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<シニアベンチャー>レクリエーション活動の経験を活かし、歌声喫茶開店

珈琲ラウンジ『あかとんぼ』オーナーピアノ&アコーディオン奏者 米村博実 (2009年6月17日UP)

特技のアコーディオン演奏を活かしてさまざまなレクリエーション活動に参加してきた米村さん。合唱する人々の笑顔を見て「これを本業にしよう!」と起業しました。

“歌は青春力”が基本理念

――どのような事業をしておられますか。
「今までしてきたことのすべてが、この店に集結する道のりだった気がする」と米村さん。毎日が楽しくてたまらないようす。
「今までしてきたことのすべてが、この店に集結する道のりだった気がする」と米村さん。毎日が楽しくてたまらないようす。
 『うたごえ喫茶の店 珈琲ラウンジ・あかとんぼ』を運営しています。普通の喫茶店ですが、第一・第三土曜日の午後は“うたごえ喫茶”として懐かしい歌を皆さんと一緒に歌います。また毎金曜日の午後は「童謡・唱歌歌いま専科!」と題した歌声喫茶の時間です。事前にご予約くだされば、どなたでも参加していただけます。第一・第三木曜は三宮へ出張して歌声喫茶をしています。歌声喫茶の出前も承っています。

――そこまで歌声喫茶や童謡・唱歌を歌うことにこだわられるのはどうしてですか。
 “歌は青春力”が僕の基本理念。誰にも一番キラキラ輝いていた時代のそれぞれの歌があり、歌うと皆いつでも青春時代に戻り、家にこもりがちな人には外出のきっかけになります。実際、最初は来ても2時間もたなかった人がちゃんと声を出せるようになったり、友だちが出来たという話を聞くと、「やっぱりいいことをしてるんだな」と嬉しくなります。

――在職中のお仕事と現在の歌声喫茶のお仕事には何の関連もなさそうに見えますが。
 僕は高校時代、お金がなくてもキャンプで山に行けるだろうと考えてレクリエーション関係のクラブに入っていました。ラジカセなどない時代なので、どこかへ行く時は「オレがアコーディオンを持っていってやるわ」と言って。僕は親父の厳命で小学生時代にピアノを習っていたので鍵盤が弾けたのですが、すると女の子が「米村さん、上手ね!」と褒めてくれるので有頂天になり、必死に練習してアドリブでいろいろできるようになりました。

――ピアノ演奏が趣味だったんですね。
山でペンションを開くのが夢だった米村さんの店は木造の山小屋風。店が赤字にならないよう、あらかじめ建物を傾けておく?
山でペンションを開くのが夢だった米村さんの店は木造の山小屋風。店が赤字にならないよう、あらかじめ建物を傾けておく?
 いえ、それが嫌々習っていたので6年間でマスターしたのはバイエルだけ。ソナチネやソナタも一部習いましたが、読譜力はバイエル程度です。アコーディオンを一生懸命練習したのは女の子にもてたい一心(笑)。就職後、噂を聞きつけた厚生部から「社員のレクリエーションを何か組んでくれないか」と頼まれるようになり、社員のバスツアーやハイキングを企画しました。労働組合に頼まれて街宣車の上で演奏したこともあります。

――特技が新たな世界を開いてくれた格好ですね。
 会社が創業100周年記念事業として森林文化協会を設立するとそちらへ異動し、童謡や唱歌を歌って子どもたちに環境教育をしました。すごく楽しかったので定年までずっといるつもりでしたが、バブルがはじけて会社は不採算部門を切り始め、協会も閉鎖されることに。元の会社に戻ったところ、すでに退職していた先輩が「お前、ヒマならちょっと話をしてくれよ」と声をかけてくれ、社外で協会での体験を話すようになりました。

キリのいい55歳で辞めて歌声喫茶を開店

――そこから今のような歌声喫茶の起業を思いつかれたのですか。
 当時はまだ構想はなかったのですが、参加していた公民館やレクリエーション関係の方から「うちでもやってよ」と次々に呼ばれて拡がっていきました。そのうち「話より歌のほうが面白い。皆歌いたがってるから一度歌声喫茶をやってくれないか」と頼まれるようになり、1年間活動を続けるうち「この商売でやっていけるんじゃないか」と考えるようになったんです。

――そこからいよいよ歌声喫茶の起業に向けて動き出されたのですね。
 子どもが手を離れたこともあり、カミさんを説得してキリのいい55歳で辞めて歌声喫茶をやっていくことにしました。店を作ったのは一見関係ないアコーディオンと僕を結びつけ、活動を外へ拡げていくための肩書きと拠点を作るためです。高くつきました(笑)。実際の店作りは友人が技術や知恵を提供してずいぶん援けてくれました。

――一連の喫茶店の開業準備で一番大変だったことは何ですか。
50代から80代まで毎回20人弱の客が歌声喫茶を楽しむ。宣伝は一切せずすべてクチコミ。これまでの延べ参加者は300人ほど。
50代から80代まで毎回20人弱の客が歌声喫茶を楽しむ。宣伝は一切せずすべてクチコミ。これまでの延べ参加者は300人ほど。
 大工の友だちに「木造で山小屋風に」と造ってもらったのはいいが、予算一杯にいってしまったため、「テーブルがないぞ」「脚もないぞ」「椅子が足りないぞ」と次々に問題が出てきた。テーブル板は大工さんがプレゼントしてくれ、脚はコーヒー業者に分けてもらい、椅子は森林組合の友人が調達してくれました。そして僕は開店まで1年ほど、毎日肩が痛くなるまで2、3時間ぶっ通しで格好よくアコーディオンを弾けるよう稽古しました。

――最後に今後の計画などを教えてください。
 開業前に歌声喫茶の出前部分はあちこちにでき上がっていたので楽でしたが、実際はなかなか頭で考えたようにはいきません。年間売り上げはざっと350万円ほど。去年は収入347万円、支出380万円で33万円の赤字でした。何でかなー。まだ年金のもらえる年齢ではないので苦しいですよ。宣伝したい思いと店の雰囲気を壊したくない思いがせめぎあっています。今後の課題は、もう少し若い方たちにどう参加してもらうかということですね。

米村博実<よねむら・ひろみ>昭和25年生まれ。大阪電気通信高校卒業後、朝日新聞社入社。印刷部門に配属されるが、レクリエーション活動の経験を活かして厚生部の社内イベントでも活躍。その後、会社の創業100年記念事業で(財)森林文化協会のディレクターに就任、音楽を通して環境教育に携わる。平成15年、同協会が閉鎖され元の職場に戻るも同17年2月、55歳で退職。10月喫茶店開業。
http://www16.plala.or.jp/utagoe/

文・写真:川井眞理(ピーエーピー・ジャパン

※記事は作成日時点のデータですので、あらかじめご了承ください。

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