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第三者の立場でハラスメント撲滅の手助け

<起業家インタビュー>ハラスメントに特化したコンサルティング・研修を実施

株式会社ヒューマン・クオリティー社長 樋口ユミ(ひぐち ゆみ)(2009年6月3日更新)

世の中にコンサルタント会社や社員教育・研修会社は多く存在しているが、株式会社ヒューマン・クオリティーは、ハラスメントに特化したコンサルティングや研修を行なっている企業である。
各種ハラスメントが横行している現代社会において、第三者の立場として指導・監督を行なえる企業が現われたことは、必然であっただろう。

ヒューマン・クオリティーを設立したキッカケ

ヒューマン・クオリティー社長 樋口ユミ氏
ヒューマン・クオリティー社長 樋口ユミ氏
――ハラスメントの防止研修・対応策・体制を支援する事業を始めようと思ったのですか?
 大学を卒業後、そのまま母校の大学に職員として就職しました。配属先はキャリアセンター、就職部でした。キャリアセンターでは、女子学生の就職活動などの相談を受け持っていました。

 母校の立命館大学では、職員と学生のつながりが強く、キャリアセンターに相談していた学生が就職し、社会人になっても、何かと相談を持ち掛けられることが多かったです。

 当時は、男女雇用機会均等法の改正など、何かと女性の職場進出が注目されていた時代でした。同時に今までは隠されていたセクシュアル・ハラスメント(以下セクハラ)が注目されるようになってきました。

 卒業した女性から、社会に出てからの自分の思いとのギャップについての相談や、今思えばハラスメントに関わるような相談も多く受けるようになりました。

 相談対応をするなかで、自分自身もっと相談の技術を身に付けたいと考え、「産業カウンセラー」や「キャリアカウンセラー」の資格を取るなどして、「その人にとって働きやすい環境とは何か」ということを本格的に考えるようになってきました。この頃から、漠然とですが何かの専門性を持って働き続けたいという気持ちが強くなってきたと思います。

――どのような経緯で開業されたのですか?
 充実して働いていましたが、一方で組織は配置換えもあり専門性を深めることは難しいことがありました。また、大学生からそのまま母校に就職してしまったので社会のことに疎いのではとも思っていました。そこで思い切って大学を飛び出し、社員教育・研修会社に転職し、法人研修事業を担当しました。

 もともと組織の中より独立したほうが自分のよさが引き立つと考えていたので、民間企業での6年間が、予算管理や営業活動、企画活動など大学職員時代には見えてこなかったビジネスの本質を勉強することができたと思っています。また独立するなら専門性を打ち出していきたい、社会の役に立つ仕事がしたいと考えていたので、ハラスメント対策に特化した事業で起業しようと心が決まりました。

 もちろん、大学職員、民間企業時代の経験だけでは、知識も見識も不足していると考え、民間企業を退社後、半年間、財団法人横浜市男女共同参画推進協会が実施している、女性のための起業セミナーで、今までの経験では取得できていなかった、ホームページ戦略などのインターネットを有効に活用する方法などを学ぶことができ、起業に備えることができました。

起業家としてのやりがい

――この事業をやっていて「良かったなぁ」と思う時はどのような時ですか?
 独立志向があったので、営業から講師、講演まで自分で責任を取って自分の思い通りにできることに仕事の楽しさや充実感を得ることができていることが、最も良かったと思う点ですね。

 また、自分がトップになったことで自分自身のことを冷静な目で見つめることができています。自分の長所や、特に短所もよく見えてきます。この気づきは仕事をしていくことでも重要ですし、人間として成長することにおいて、最も重要な気づきであったと思います。自分を振り返る習慣ができたことで、管理職の皆様にも自信を持ってアドバイスができるようになったと思っています。

――この事業を展開されるうえでご苦労された点はどのようなことですか?
 大学職員時代と時代も変わり、ハラスメントに関してセクハラばかりではなくアカデミック・ハラスメント(アカハラ)やパワー・ハラスメント(パワハラ)など次から次へと新たな社会問題が発生してきてきます。

 セクハラが社会問題になり始めた時もそうですが、ハラスメントをしている側が、その行為をハラスメントとして認識せず、行動を変えようとしないことが大きな問題ですね。
特にパワハラやアカハラを行なう人は、企業においては「仕事のできる人」である場合が多いので、企業側に相談しても「そうは言っても、成績の上がっている人に注意はできない」や「相談者の被害妄想なのでは」などと捉え、解決に向けて動かない、という状況が多いことです。

 また、ハラスメントをする人も、「会社のエース」的存在ですので、もともと優秀な方が多いので、研修会などで「気づき」の場があれば「自分の行為はハラスメントかもしれない」と気づくようです。しかし、研修などが終わって、しばらく経つとそれを忘れてしまうこともあり、意識を根本から変え、行動を変化させることが難しいですね。クライアント企業と一体となって継続的な取り組みをしていくことが大切だと痛感しています。

 セクハラにおいても、まだまだ相談件数は多いですね。約半数はセクハラについてです。当初セクハラは、個人間の問題や加害者の資質の問題であると考えられることが多かったのですが、実は組織やシステム的が背景になっていることも多く、それがなかなかセクハラが減らない要因でもあると考えています。

 組織やシステムにセクハラが多い要因の一つは女性管理職が少ないことですね。セクハラの多くは上司(管理職)が部下の女性に対して行なうことが多いのですが、日常的なところでその上司に注意をする人がいないことが大きな問題なのです。

 上司の同僚の方(管理職仲間)が男性ばかりだと、どうしても「なあなあ」になってしまうところが多いようです。逆に同じ立場に女性管理職がいる場合、対等な立場で女性の気持ちを訴え、指摘することができるので、組織としてセクハラに対応することができるのです。しかし残念ながらほとんど企業で女性管理職の人数は極めて少ないのが現状ですね。だからなかなか好転しにくいですね。

「労働集約型から脱出」がこれからの目標

――現在の状況はいかがですか?
 起業して1年超となりましたが、日本を代表する企業や官公庁を中心に50以上の皆様に研修会やコンサルティングをさせていただいています。

 ハラスメント関連は、同じ社内にいるとなかなか気づかないことと、気づいても社内で声をあげるより、第三者が指摘したほうが組織も動きやすいということもあり、順調に依頼いただいている状況です。

 新規開拓として無料セミナーも実施していますが、そちらの反応も上々です。ただ、このような労働管理的な業務は、企業において4月の予算が付くかどうかが鍵となります。そのため無料セミナーが好評でも、即受注できるかというとそうでもありません。「種をまいて」から「刈り取る」までの時間がかかることが問題点ですね。ある程度やむを得ないところはあるのですが。

――今後のご計画や目標をお教えください。
 キャッシュフローを安定化させることが、目先の目標ですね。セミナー・研修事業は、基本的には単発です。そのためどんなに好評な研修のリピートも半年後や1年後ということが多いです。また秋に集中してご依頼いただくことも多いですね。したがって、なかなかキャッシュフローが安定しないところがあります。

 そこで今期は、企業に年間契約的な「ハラスメント関連の相談窓口」のようなものの設置も提案しています。もちろんコンサルティング事業などの長期にわたるプロジェクトなどにも注力しています。

 スポット的な研修事業でも、長期的な事業でも、いずれにせよ、現在は労働集約型で売上を確保している状態です。そこでシステム化できるところはシステム化し、労働集約型からの脱却が当面の目標ですね。

                      ◇◇◇

 男女雇用機会均等法が施行されたあたりから、セクシュアル・ハラスメント(いわゆるセクハラ)が社会問題となってきた。各企業とも、セクハラ撲滅の意気込みは強いが、なかなか効果が上がっていないようである。しかも最近では、セクハラばかりではなく、アカデミック・ハラスメントやパワー・ハラスメントなどの強い立場の人間が弱い立場の人間を苦しめる社会的弊害が多く発生している。

 これらのハラスメント事案は、企業の中だけでは管理や対策が甘くなってしまう傾向があり、根本的な解決を妨げているとも言われている。

 現代のような、ハラスメントが横行する社会において株式会社ヒューマン・クオリティーのような、第三者の立場でハラスメント撲滅の手助けをする企業のニーズは益々必要となるであろう。

会社名    株式会社ヒューマン・クオリティー
設立     2008年2月
所在地    〒107-0062 東京都港区南青山2-2-8 DFビル5F
連絡先    TEL:03-3401-3846 FAX:03-3416-2857
メール    human@human-quality.co.jp
ホームページ http://www.human-quality.co.jp/

※記事は作成日時点のデータですので、あらかじめご了承ください。

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