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中国在住の著者が語る真の中国の姿

<中国では今こうなんです>バブル崩壊か、中国不動産市場の摩訶不思議

ベンチャー・リンク2009年2月号掲載

中国在住の著者が、自身で見聞きした中国の現状を語ります。にわかには信じがたい話もありますが、本当に中国では今こうなんです。

市街地から離れた海岸にも、懲りずにまだマンションを建て続けている。
市街地から離れた海岸にも、懲りずにまだマンションを建て続けている。
私事ながら、最近、長らく暮らした某地方都市から、日本人もそこそこ住んでいる某沿岸都市に、1年間だけの予定で引っ越しをした。新しい住まいを探しているうちに、「やっぱり、不動産バブル崩壊は来ている」と肌で感じた。

市内には高層マンションが今でも続々と建てられている。そんななかで私はセキュリティー重視で賃貸マンションを探していたところ、築2年で広さが約150平方メートル、家賃が月額8000元(約12万円)という物件があった。

「これでは予算がオーバー」と不動産会社と部屋のオーナーに両手を広げてオーバーに告げると「予算はいくらだ?」ときた。ものは試しと「5000元」と言ってみた。周囲の状況から相場は8000~1万元。絶対に無理だろうと思いきや、あっさりと値下げを認めた。

去年までは不動産会社もオーナーも強気で絶対に値下げに応じなかったそうで、管理事務所の管理人も家賃を聞いて驚いていた。しめしめと思いつつ、インターネットで不動産情報を見れば、その周辺の外国人向けマンションは、あき部屋がかなりある様子だ。つまり、不景気による借り手の減少(外資撤退)や、価格下落による様子見の買い控えが起きて物件がだぶつき、強気の高額家賃を要求できなくなりつつあるということだろうか?

私が借りた部屋は“投資・投機用”ではないことも特徴だ。オーナーは他にもマンション3戸を所有している。だが今回は、自分たちのために購入して住んでいた部屋を賃貸または売りに出したのだ。よって、備え付けの家具・家電は日本製の高級品ばかり、テレビは巨大液晶画面で部屋の四隅に音響ステレオ付きである。システムキッチンも日本製で、トイレはウォシュレット、浴槽も深い。

それまでに私は、投資マンションを20物件近くも下見した。どれも造りがいい加減で安っぽい家具と内装ばかりなうえに家賃が高すぎる。少し安いと思えば、築10年未満なのに傷みがひどくて狭い。

今回は「お得な物件」に間違いないが、あまりにもお得だと、人間、不安が募る。「もしや、オーナーは借入金返済がうまくいってないのではないか」「抜き差しならぬ事情で泣く泣く己の住まいを貸し出したりしてないか」。頭の中に疑惑が渦巻く。気分がすっきりしないので、オーナーにマンション所有における収支勘定を聞いてみた。すると、2年前の購入時は200万元(約3000万円)で、現在の売り出し価格は230万元(約3450万円)という。そのとおりに売れれば、2年間で450万円も儲かる計算だ。実においしい。

しかし、高度成長に浮かれる中国とはいえ、世の中、そううまくいくだろうか。中国では不動産購入の頭金は売値の30%とされているから、約60万元(900万円)を購入時に支払ったとして、約140万元(約2100万円)が借金として残る。住宅ローン金利は不動産市場の冷え込みを受けて、最近の発表では年4%ほどに下げられた。まあ2年前ということで金利は5%として、一般的な10年ローンを組んだ場合、返済は月額1万5000元(約22万5000円)となる。仮に、頭金を100万元にして20年ローンを組んだとしても、月の返済額が5500元(約8万3000円)くらいである。

オーナーには、同様な住宅ローンがあと3戸分もあるのだろうか。その場合、返済計画はどうなっているのか。ますます疑惑が膨らむ。

まあ、あまり懐疑的になると、いくら探せど好物件にありつけない。ましてや、中国ではおおらかで楽観的になることが、力強く生きるコツだ。

オーナーは元公務員のおじいさんなので、投資にまわしていた物件は私に貸す1戸を除いて計画経済時代にあてがわれた「公務員住宅」かもしれない。とすれば、ローン返済額は月5500元程度で、5000元の家賃でもオッケーなのかもしれないと自分に言い聞かせた。

いや待てよ。それならそれで、内装にお金をかけた「自分たちのための部屋」を安く貸し出したり売り出したりするのはもったいない。そういえば、オーナーの娘は投資に熱心と聞く。やはり無理なローンを組んで返済に追われて苦し紛れに貸し出すのか。

いやいや、他人の懐事情を詮索してみたところで、私が借りるマンションが狭くなったり古くなったりするわけでなし、考えすぎても仕方ない。

ただ、ここ最近の中国経済の失速を見ると、一般庶民の「投資生活」は決して順調ではないのは確かだ。とはいえ、中国には伝家の宝刀の「借金踏み倒し」があるので、日本の投資家ほど危機感を抱いていないのも確かだろう。

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