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■BUSINESS STYLE Report Part2

大手小売店のバイヤーに聞いた私が求めている商品、取引したい企業

東急ハンズ町田店/B STYLE14月号より(2005年6月15日発行)

顧客の心をつかむ商品を求めているのは、大手小売店のバイヤーも同様だ。
彼らは、どのようなスタンスで商品を探し、仕入れているのか?
商談会も活用するなど、魅力的な商品探しに余念がない彼らに、商品・企業に求めるものについて聞いた。

■商品への愛着・思い入れを買う
東急ハンズ町田店(東京) 素材コーナー主任 八木孝之氏

2八木孝之さん。家族とのドライブ中に、たまたま見つけた木材メーカーさんとその場で商談をしたこともあるという大の木材好き
2八木孝之さん。家族とのドライブ中に、たまたま見つけた木材メーカーさんとその場で商談をしたこともあるという大の木材好き
「企業との商談で一番大切にしていることは、直接顔を合わせること。そして“私が”ではなくて、“相手が”その商品をどう思っているかです」
 東急ハンズ町田店素材コーナーの主任八木孝之氏は語る。
「売り込みが多いのですが、商品を前面に押し出して、『売りたい、売りたい!』いう気持ちだけの人からは買いませんね」
 八木氏は仕入れの際、商品を作っている人、営業する人が商品に愛着をもっているかどうかで決めるという。
「信頼できる人が自信と愛着をもってすすめてくれる商品なら間違いない、と思い入れを買います。だから取引先との信頼関係も大事ですね」
 それは書面や電話ではわかりにくい。木材を担当する八木氏は、時間が許せば九州や四国でも出向く。直接商品を触って、顔を合わせて商談をするためだ。屋久杉の仕入れに屋久島まで出向いたこともある。
 商談会に関しては、「直接出かけるのがいいのですが、商談会も作った人の思い入れに出会える場として活用しています」という。

■飲まない人、とくに女性の心をつかみたい
東急ハンズ町田店(東京) 酒類コーナー「HANDS Bar」主幹 木沢元明氏

木沢元明さん。手に持っているのは沖縄の泡盛「老人と海」。ラベルの老人の写真に惹かれて仕入れた
木沢元明さん。手に持っているのは沖縄の泡盛「老人と海」。ラベルの老人の写真に惹かれて仕入れた
「飲む人だけではないんですよ。飲まない人にどうやって飲ませるか? それを考えた商品を集めています」
 3年前から東急ハンズ町田店内の酒類コーナー「HANDS Bar」の担当をしている主幹・木沢元明氏は語る。
 「HANDS Bar」は、木沢氏が一から作り上げたコーナーだ。
「この売り場の商品は、呑んべえのためにあるだけではないんです。
 デザインや面白い名前の商品を集めてお酒を飲まない人、特に女性がいかにお酒を楽しめるかをイメージしています」たしかに、酒屋や量販店で見たことのない、お酒が目につく。
「女性はいいものを見つけたときにどういう反応をするかわかりますか?“かわいい”って言うんですよ。だから、女性が“かわいい”と言うような商品を仕入れたい」
 情報源は『日本銘酒辞典』。気になった酒造メーカーに片っ端から電話をかけ、自ら足を運んで商談をする。また、東京ビジネス・サミットで、全国の酒造メーカーと商談し、めがねにかなった商品を仕入れている。
「お酒はうんちくを語って会話を広げたり、ギフトにすることでコミュニケーションツールにもなります。女性の感覚で、背景やイメージが訴えかけてくる商品をこれからも見つけて行きたいですね」

■個の満足を集めてマスの満足とするのが鶴屋流
鶴屋百貨店(熊本) セールスマネージャー 古山一男氏

古山一男さん。催事場担当や数々の食品売り場担当を経て現在は地下2階全体を統括してマネージメントしている
古山一男さん。催事場担当や数々の食品売り場担当を経て現在は地下2階全体を統括してマネージメントしている
 地場産業に力を入れている熊本では、毎年物産協会による新商品品評会が行なわれる。その審査員もやっているという鶴屋百貨店は、グローサリー売り場に地元企業の商品を多くそろえている。
 「物産協会に入っていない企業の情報はなかなかないので、こちらからとりに行く“一本釣り”をしています」と、セールスマネージャーの古山一男氏は語る。
 各バイヤーは、県内の市町村が開催している物産系のイベントを見に行って面白い商品を探し、商談をする。また県内のものにかぎらず、全国の物産探しにも余念がない。同百貨店では、『全国味探訪』と題したイベントを年に3回開催しているが、各バイヤーが独自に情報収集をし、部内の企画会議にかけて展開する商品を決定している。
春雨の中華スープ、太平燕(たいぴえん)。熊本発で全国に広がった逸品。中華料理店のメニューを家庭用にと開発された
春雨の中華スープ、太平燕(たいぴえん)。熊本発で全国に広がった逸品。中華料理店のメニューを家庭用にと開発された
「県民性か、熊本の人は新しいものにすぐに飛びつきます。でも本当にいい物じゃないと次から目が厳しくなるんですよね。こっちも目利きじゃないと。盛況の反面、リスクの高いイベントです」
 同店では、お客様の声も活用している。
「テレビで見たあの商品、置いてないの? 雑誌で見た○○ある? というふうに意見を言ってくれる人が多いんですよ。声があったものは必ず仕入れています」と古山氏。マスではなく、個の満足を訴求。その個を集めてマスの満足とするのが鶴屋百貨店の売り場作りである。

■まだまだある隠れた銘菓を探し続けたい
井筒屋(福岡) 和菓子担当 山口明子氏
 
山口明子さん。和菓子担当20年のエキスパート。手に持っているのは、ガーリックラスク(山形)とかもめの玉子(岩手)
山口明子さん。和菓子担当20年のエキスパート。手に持っているのは、ガーリックラスク(山形)とかもめの玉子(岩手)
 柔道オリンピック代表の谷亮子選手が結婚式の引き出物にしたことで有名になった、京都の緑寿庵清水のこんぺいとう。九州では井筒屋でしか買えなかった。
「ほかの百貨店から部長を通じて紹介があったのがきっかけで、仕入れたいと思いました。京都で作る工程を見学したところ、こんぺいとうに対する考えがまったく変わりました! 駄菓子ではなくて芸術品です」と語るのは和菓子バイヤーの山口明子氏。
 紹介や売り込みがあっても必ず自分や売り場の人で試食して判断する。本や雑誌、インターネットで情報収集し、仕入れた全国の和菓子は定番品として並ぶ。ほかに週替わりで季節品展開のコーナーがある。
「毎週新しい商品を探すのは大変です。でも取引先のメーカーさんがほかの商品を提案してくださって、いいものに出会えることも多いんです」
 マンネリ化を防ぐために常に新しい商品展開を考えている山口氏は、ひとつの取引先も有効に活用している。
山形の取引先、ずんだもちの永井屋の社長から提案されたガーリックラスクも、人気の定番品だ。
「まだまだ日本には隠れた銘菓があります。地方でこじんまりやっているようなところにもおいしいものがあると思うんですよ。自分は探し続けます。でも情報はどんどんほしいですね」
 ただ待っているだけではいい商品とは出会えない。バイヤーにとって、メーカーにとって、そして商品にとってもそれは不幸だ。めぐり合いの場こそが商談である。

※記事は作成日時点のデータですので、あらかじめご了承ください。

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