キーマンインタビュー
子どもに「達成感」をもたせ親が褒めてあげることが大切
学校法人初音丘学園理事長 渡邉真一氏/B STYLE18月号より(2006年2月15日発行)
幼児教育の先駆者であり、多様化する幼児教育・保育のニーズに対応した教育スタイルを提唱、幼児教育の諸問題に取り組む学校法人初音丘学園理事長・渡邉真一氏をインタビューした。
![]() 渡邉真一氏 学校法人初音丘学園理事長 初音丘幼稚園園長、スカイハイツ幼稚園園長 経団連・私立幼稚園経営者懇談会会長 横浜国立大学教育人間科学部非常勤講師 東京純心女子大学現代文化学部非常勤講師 著書「保育原理」(福村出版)「新しい保育原理」(樹村房)「ザ・クラスだより12ヶ月」(すずき出版)「園だより」(フレーベル館)「教育制度と社会」 (玉川大学通信教育部) |
渡邉● 幼児期の教育というのは、いろいろな生活体験をすることだと考えています。
私は、小学校2年生までを幼児期だと考えていますが、その時期までは、興味、関心を示すさまざまな生活体験を家庭で学校でどんどんさせることです。さまざまな生活体験を通し、子どもたちは感受性、興味、関心などたくさんのことを学びます。
小学生になると教科書を通して学びます。きちんとした理屈で、頭で学ぶ〈教科学習〉とは違い、幼児期の教育は体全体で学ぶ〈体験学習〉です。だから、幼児期にいろんな生活体験ができた子どもは小学校1、2年生になってからの生活科の授業を楽しめるはずです。幼児期の教育は生活の場にあります。お父さん、お母さんと連携して、その生活の場を支えているのが幼稚園の先生であり、保育所の保育士なんですね。
---幼稚園で行なう教育の必要性はどこにあると考えますか?
渡邉● 幼稚園は〈遊びの園〉です。だから幼稚園という場所は、親にとっても子どもにとっても 楽しいところじゃなきゃだめだと私は思っています。3歳から英語を学ばせることを望む家庭も多いのですが、 子育てには順序があって、言葉に限って言えば、まず日本語を獲得することが大前提にあるわけですよ。 常日頃「バイオリンが弾けておしりがふけないような子育ては困ります」と私は言っています。
3歳の子どもに5歳の課題を与えてもだめだし、5歳の子どもに3歳の課題を与えれば簡単すぎてバカに してしまいますよね。年齢にふさわしい生活場面、遊びの場というものがある。幼稚園では年齢に合った教育を応援しています。幼稚園で楽しんだことを家庭でも楽しんで欲しい。家庭と一緒になって幼稚園教育を楽しみたいんです。
幼児期の教育は家庭教育と連動しています。私たちは子どもたちに健やかに育って欲しいと 常日頃考えているわけですが、一方で重要なのは親の教育なんです。お父さん、お母さんも子どもと 一緒に育ってほしい。一緒に育つというのは、子どもと一緒に幼児期を共有して欲しいということです。幼 稚園の先生方と一緒に子育てしているんだと実感して欲しいです。
---子どもたちの教育とともに、親の教育も必要だということでしょうか?
渡邉● 私は、子育て支援とは「子どもが育つ支援、親が育つための支援」だと思っています。お父さん、お母さん方はすぐに「かわいそう」という言葉をつかいます。そのひと言が子どもの可能性をつんでしまうんですよ。
最近の子どもはすぐに「疲れた」といいますが、これは〈親ぐせ〉なんですよね。 親の口癖が子どもをダメにしてしまう。また、お父さんお母さん方はすぐ「やっちゃダメ!」って 言いますよね。やらせておけばいいんです。多少の怪我は気にせずにやりたいことをやらせてあげて欲しい。
---幼児期の教育では、親子関係を考えることが重要なんですね。
渡邉● そうですね。私が園長を務める幼稚園では、毎年子どもたちに卒業遠足で7キロ歩かせています。幼児期に達成感をもたせることは大切なことです。歩くことができたら、最後に親が「よく歩ききったね」と褒めてあげてぎゅっと抱きしめてあげる。親にぎゅーっと抱きしめられた経験があるかどうかは親子関係 にあらわれてきます。
教育の成果が出るには時間がかかります。人はすぐ目に見える結果を求めますが、 幼児期の保育の結果は20年後にでてきます。教育というのは、思い出を残してあげることだと思います。思い出を残してあげるのが我々の役割で、思い出を作るのは子どもたちです。
※記事は作成日時点のデータですので、あらかじめご了承ください。















